社会福祉士と精神保健福祉士の難易度 [社会福祉]
社会福祉士と精神保健福祉士のどちらの受験が難しいのだろうか?
[合格率の違い]
合格率を比較すると、社会福祉士試験が3割弱、精神保健福祉士試験が6割ほどなので、社会福祉士のほうが難しいように思える。
[受験者数の違い]
ただ、単純に比較はできない。社会福祉士の受験者数が毎年4万人程度なのに対し、精神保健福祉士の受験者は7千人弱と少ない。それはなぜだろうか?
[ニーズの違い]
一つには、社会福祉士がジェネラルなソーシャルワーカーであるのに対し、精神保健福祉士は精神保健の分野に特化したソーシャルワーカーだという違いがあるので、ニーズが違うのだろう。一般病院における入退院支援加算や介護支援等連携指導料を得るためには社会福祉士の配置が必要だ。また地域包括センターの必置となっているのは社会福祉士だ。一方、精神保健福祉士は、精神科病院における精神保健福祉士配置加算の対象となっている。
ニーズの違いは、受験者層に違いをもたらすだろうから、合格率の違いだけで、どちらが難しいかを考えるのは適切ではない。
[区分別の表]
社会福祉士と精神保健福祉士の資格を取る順番で紹介したように、仮にこの両方の資格を順番に取る場合、社会福祉士→精神保健福祉士の順で取得するのが良い。では精神保健福祉士試験の受験者のなかで、社会福祉士の資格を持つ人の割合はどれぐらいだろうか? 前回のように日本ソーシャルワーク教育学校連盟のページからデータを拾ってみた。精神保健福祉士の受験者について、近年3回(2018~2020年・第20~22回)の平均値の表がこれだ。
※:不合格者数と翌年の既卒受験者数の差
すでに社会福祉士の資格を持つ人は短期養成課程を経るだろう。近年3年の平均で、短期養成課程の新卒者は、新卒受験者全体の約4割を占めている(1,800÷(1,700+1,100+1,800)=0.39)。そして、短期養成の新卒者の合格率は何と94%という高さである。やはり、すでに社会福祉士を持つ人たちが、精神保健福祉士試験の合格率を押し上げているのは確かだ。
[区分別の合格率を比較]
しかし実は、短期養成だけでなく、四年制大学卒・短大卒+実務経験・一般養成課程のすべてにおいて、新卒・既卒を問わず、社会福祉士よりも精神保健福祉士のほうが合格率が明らかに高い。
この表を見ると、社会福祉士試験よりも精神保健福祉士試験のほうが少し難易度が低い(易しい)と言えるだろう。
[難易度の違いはどこからくるか]
試験の科目数は、社会福祉士が18科目、精神保健福祉士が16科目だ。ただし、このうち11科目が共通科目である。だから、専門科目は、社会福祉士が7科目、精神保健福祉士が5科目となる。専門科目の中に相談援助関係が2科目があるのはどちらも同じだ。
精神保健福祉士の残りの3科目が精神保健分野に特化しているのに対して、社会福祉士の残りの5科目は高齢者・児童と母子・就労支援や更生保護・経営論と幅広い。そう考えると、専門科目は精神保健福祉士のほうが精神保健の分野に特化しているだけ学びやすいと言える。おそらくそれが、難易度の違いをもたらしているのだろう。
とはいえ共通科目11科目が、全体の6割以上を占めている以上、難易度に大きな差は生じにくいはずだ。合格率の大きな差は、短期養成課程経由の人たち(その多くは社会福祉士の資格保持者)の合格率の高さが主因であう。
私の周りで社会福祉士と精神保健福祉士の同時受験をした人は数人しか知らない。両方合格した人もいるが、精神保健福祉士のみ合格し、社会福祉士に落ちた人もいる(そして逆は聞いたことがない、サンプルが多ければあり得るとは思うが)。
だから、本当にどちらの資格でも良いから取得したいという人は、精神保健福祉士のみを狙うという選択もあるわけだ。
[合格率の違い]
合格率を比較すると、社会福祉士試験が3割弱、精神保健福祉士試験が6割ほどなので、社会福祉士のほうが難しいように思える。
[受験者数の違い]
ただ、単純に比較はできない。社会福祉士の受験者数が毎年4万人程度なのに対し、精神保健福祉士の受験者は7千人弱と少ない。それはなぜだろうか?
[ニーズの違い]
一つには、社会福祉士がジェネラルなソーシャルワーカーであるのに対し、精神保健福祉士は精神保健の分野に特化したソーシャルワーカーだという違いがあるので、ニーズが違うのだろう。一般病院における入退院支援加算や介護支援等連携指導料を得るためには社会福祉士の配置が必要だ。また地域包括センターの必置となっているのは社会福祉士だ。一方、精神保健福祉士は、精神科病院における精神保健福祉士配置加算の対象となっている。
ニーズの違いは、受験者層に違いをもたらすだろうから、合格率の違いだけで、どちらが難しいかを考えるのは適切ではない。
[区分別の表]
社会福祉士と精神保健福祉士の資格を取る順番で紹介したように、仮にこの両方の資格を順番に取る場合、社会福祉士→精神保健福祉士の順で取得するのが良い。では精神保健福祉士試験の受験者のなかで、社会福祉士の資格を持つ人の割合はどれぐらいだろうか? 前回のように日本ソーシャルワーク教育学校連盟のページからデータを拾ってみた。精神保健福祉士の受験者について、近年3回(2018~2020年・第20~22回)の平均値の表がこれだ。
受験者 | 合格者 | 合格率 |
※ | ||
---|---|---|---|---|---|
四年制大学卒 | 新卒 | 1,700人 | 1,300人 | 76% | 200人 |
既卒 | 1,000人 | 200人 | 22% | ||
短大卒+実務 | 300人 | 100人 | 26% | ||
一般養成課程 | 新卒 | 1,100人 | 800人 | 72% | 100人 |
既卒 | 800人 | 200人 | 22% | ||
短期養成課程 | 新卒 | 1,800人 |
1,700人 | 94% | 0人 |
既卒 | 300人 | 100人 | 46% |
※:不合格者数と翌年の既卒受験者数の差
すでに社会福祉士の資格を持つ人は短期養成課程を経るだろう。近年3年の平均で、短期養成課程の新卒者は、新卒受験者全体の約4割を占めている(1,800÷(1,700+1,100+1,800)=0.39)。そして、短期養成の新卒者の合格率は何と94%という高さである。やはり、すでに社会福祉士を持つ人たちが、精神保健福祉士試験の合格率を押し上げているのは確かだ。
[区分別の合格率を比較]
しかし実は、短期養成だけでなく、四年制大学卒・短大卒+実務経験・一般養成課程のすべてにおいて、新卒・既卒を問わず、社会福祉士よりも精神保健福祉士のほうが合格率が明らかに高い。
新卒 | 既卒 | |
---|---|---|
四年制大学卒 | 56% 対 76% | 13% 対 22% |
短大卒+実務 | 11% 対 26% | |
一般養成課程 | 55% 対 72% | 19% 対 22% |
短期養成課程 | 42% 対 94% | 17% 対 46% |
この表を見ると、社会福祉士試験よりも精神保健福祉士試験のほうが少し難易度が低い(易しい)と言えるだろう。
[難易度の違いはどこからくるか]
試験の科目数は、社会福祉士が18科目、精神保健福祉士が16科目だ。ただし、このうち11科目が共通科目である。だから、専門科目は、社会福祉士が7科目、精神保健福祉士が5科目となる。専門科目の中に相談援助関係が2科目があるのはどちらも同じだ。
精神保健福祉士の残りの3科目が精神保健分野に特化しているのに対して、社会福祉士の残りの5科目は高齢者・児童と母子・就労支援や更生保護・経営論と幅広い。そう考えると、専門科目は精神保健福祉士のほうが精神保健の分野に特化しているだけ学びやすいと言える。おそらくそれが、難易度の違いをもたらしているのだろう。
とはいえ共通科目11科目が、全体の6割以上を占めている以上、難易度に大きな差は生じにくいはずだ。合格率の大きな差は、短期養成課程経由の人たち(その多くは社会福祉士の資格保持者)の合格率の高さが主因であう。
私の周りで社会福祉士と精神保健福祉士の同時受験をした人は数人しか知らない。両方合格した人もいるが、精神保健福祉士のみ合格し、社会福祉士に落ちた人もいる(そして逆は聞いたことがない、サンプルが多ければあり得るとは思うが)。
だから、本当にどちらの資格でも良いから取得したいという人は、精神保健福祉士のみを狙うという選択もあるわけだ。
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