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過去問の学習の仕方 [心理の資格]

公認心理師試験は、基本的に過去問を勉強していれば合格できる、という話をしていたところ、過去問をやったけれど歯が立たなかったという反論をいただいた。

あまり詳しく事情を聞いていないのだが、どうやら過去問の勉強の仕方を知らないのではないか、と思われるフシがある。そこで、過去問の勉強の仕方を書いておこうと思った。

例として、第5回公認心理師試験の午後の第89問を取り上げる。正解は②である。



たぶん心理学について学んだことがなくても、④⑤は除外できるだろう。ギリシャ・ローマ神話についての大ざっぱな知識があれば③も除外できる。残された①②から一つを選べば、50%の確率で正答できる。そこで「正答できたから良かった」と安心してしまうのでは、何の学習にもならない。①を選んでしまって、自己採点して間違いと分かり、これは単純接触効果であるという知識を身に付けられれば良いのだが、そのためには、まず間違えなければならない。

過去問をやるときには、なるべく間違えた方が良い
(正答して喜ぶのは愚か者のすることである)

さらに、それぞれの選択肢についてテキストを調べてみる(基本的には索引をひけば良い)。

①の傍観者効果は、何らかの苦難にある(暴漢に襲われているとか、道に倒れている)人を目撃したとき、目撃者が一人ならその人が救助の行動を起こす確率が高いが、目撃者が多いと行動を起こす確率が下がるという現象。(自分以外の誰かがやってくれるという期待が起きるのだろう)。

②の単純接触効果は、接触の回数が多いものに好感を持つという現象。(毎週観ているテレビドラマの主題歌が好きになるとか)
自分の顔は、鏡で左右反転した像を見慣れているので、写真に写った(左右反転していない)自分の顔に違和感を感じるのである。

ピグマリオン効果は、教師から期待されている学習者の成績が向上するという現象。似たようものとしてホーソン効果というものもある。

自己中心性バイアスとは、自分の知識や経験を元にして相手の心情を推し量ってしまうことで、自分が推測した相手の気持ちと実際の相手の気持ちとのあいだにずれが生じることである。(相手はきっとこう感じているに違いないと思っても、実際の相手の気持ちは全然違ったりする)

セルフ・ハンディキャッピングとは、自尊心を守るために、失敗しそうなときに自らに悪条件を課すこと。(苦手な試験の前に勉強するのではなくゲームで遊んでしまって、勉強できなかったから試験に落ちたのだと自他に言い訳する)

このようなことを、一問一問繰り返していくのである。各選択肢を調べておけば、自分が除外した選択肢についても、それについての知識を身に付けることができる。

もちろん、テキストを全部勉強すれば、もっと知識が身につくだろうし、それが勉強の王道であろう。しかし、試験の合格という目的を達成するためには、このような過去問勉強法が効率が良い。なぜならば、テキストの中にある情報が一様に試験に出されるわけではなく、試験に取り上げられやすい情報もあれば、そうでない情報もあるからだ。

自動車運転免許の学科試験と違って、過去問とまったく同じ問題が繰り返し出題されるということはない(と思った方が良い)。だが、各選択肢の内容まで学んでおけば、幅広く対応できる。

このように過去問を勉強するのだ、と説明したら、「とてもそんな面倒なことはやってられない」という人もいらした。面倒に思うのなら、一日一問ずつやるなどの方策を考えた方が良いだろう。

ちなみに、ネットで調べた結果は安易に信用しない方が良い。間違った、あるいは偏った説明がされているページもあるし、最近のGoogle検索は精度が悪く、そういうページが検索上位に上がってくることがあるからだ。

受験のテクニックを使って合格することには批判もあるのは承知している。その分野の勉強をきちんとすべきなのはもちろんだ。だが、その分野の勉強をきちんとしたとしても、試験に合格できなければ資格を得られないのだから、テクニックも大事なのである。
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