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放送大学だけでは公認心理師になれない [心理の資格]

現在私は放送大学で心理学の勉強をしている(資格を取ってから勉強するという泥縄式である)。

昨年の10月に、「学生へのお知らせ」に、こんなお知らせが掲載された。

大学院における公認心理師対応カリキュラムの設置の見送りについて
https://www.ouj.ac.jp/hp/o_itiran/2021/1027.html

放送大学の大学院に公認心理師対応カリキュラムは設置されない、というお知らせであった。

すでに社会人になった人が公認心理師を目指す場合に、放送大学で学ぶというのは魅力のある選択肢だった。働きながら通信で学ぶのは容易なことではないが、福祉系の資格の場合には働きながら通信制の養成課程で学んで受験する人も多い。心理の資格にも同様のルートがあるのは良いことだと思われる(ただし、そのためには通信で学ぶ年数が相当長くなるが)。

放送大学が大学院でのカリキュラムを設置できない理由は、要件である合計450時間の実習を行なうことが難しいからだという。450時間は長いな・・・。

例えば社会福祉士の一般養成課程では、実習は180時間以上と決められていて、24日間(あるいは16日間+8日間)で実施するところが多い。一ヶ月仕事を休んで実習施設に通うのは大変だ。勤務先の理解を得るだけでも容易なことではないだろう。ただし、福祉の資格を通信課程で取る人の多くはすでにその分野で何年も働いて実習免除の要件を満たしていることが多く、実習を受けるのはたいてい他分野からの転職組だ。

ところで、新型コロナの影響で多くの施設で実習者を受け入れることが難しくなっており、福祉系の大学では学部生の実習先を確保できなくなっている。やむなく学内に模擬病棟を作って実習を行なうことを認めてもらったという話を聞いた。

450時間となると、少なくとも60日間、つまり3か月は必要だ。学ぶ側も、学ばせる側も、負担が重い。だから、設置見送りはやむを得ないことかもしれないが、それによって、放送大学の公認心理師のカリキュラムが学部部分だけになったのは残念なことだ。学部卒業後に、他の大学院に進むか、数少ない認定施設での実務経験を積まないと受験資格を得られないのだから。

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ちなみに、放送大学には臨床心理士対応のカリキュラムはあり(こちらは大学院も対応している)、そちらの実習は合計240時間である。実習時間だけを比較すれば、公認心理師になるために求められる実習時間は、臨床心理士になるための実習時間より長く、2倍に近い時間が求められているのである。

公認心理師のほうが長いとは知らなかった。
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第5回公認心理師試験の状況予測 [心理の資格]

第5回公認心理師試験の状況を予測してみる。第5回試験は2022年7月頃に実施される予定だ。

公認心理師試験の受験資格者は、大きく三つに大別できる。

ア)指定の科目を大学・大学院で心理を学んできた人
イ)法施行以前に大学・大学院で心理を学んだ人
ウ)大学・大学院で心理を学んでいない現業者

ア)の人たちは第6回以降の試験に登場するので、第5回まではイ)とウ)の人たちだけだ。

イ)の人たちは、科目の読み替えができれば、区分D1/D2/E/Fで受験でき、読み替えができない人たちは区分Gで受験せざるを得ない。ウ)の人たちは区分Gとなる。

■最初にイ)の人たちが大量に受験した

2018年の第1回試験では、区分D1と区分Gのそれぞれに約17,000人の受験者があった。その多くがイ)に該当する人たちであっただろう。さらには臨床心理士の資格を持つ人たちだったと思われる。そして、その多くが合格した(区分D1の合格率は86%)。合格できなかった人たちも翌年以降に再受験して合格していったはずだ。そのことは、区分D1の受験者が、第2回では約3,500人、第3回では約1,400人と急減したことから裏付けられる。区分Gで受験した人たちも、同じように大半が合格していったと思われる(区分Gの合格率は73%)。

つまり、臨床心理士で、公認心理師資格を取得するつもりの人は、ほとんどが第2回あたりまでに合格していたというわけだ。

■第2回以降はウ)の人たちで占められた

それに替わって、第2回以降の受験者の大半を占めたのがウ)の人たちだ。現業であることの証明さえ得られれば、数万円の費用と数十時間の講習を受けることで受験資格が得られる。これは大学と院で心理を学び直すのに比べれば、費用も時間もずっと少なくて済むわけで、臨床心理士という資格を持たない現業者にとっては魅力のある選択肢となった。

というわけで、初回の現任者講習はイ)の人たちで占められたが、2回目以降はウ)の人たちで埋まるようになった。そして、区分Gの合格率は第2回で42%に急落した後に、第3回が50%、第4回が56%と徐々に持ち直してきている。

区分Gで合格した人が増えてくると、いままで興味のなかった人たちも受験意欲を持つようになる。なんだそんなルートで心理の国家資格が得られるんだったら受けてみよう、と思う人たちが出てくる。それは、公認心理師資格の認知度と好感度が上がったゆえとも言える。また(公認会計士や司法書士試験のように)合格率が数%という難易度ではなく、頑張って勉強すれば十分に受かりそうな気持ちにさせるだけの合格率だったことも大きかった。

第4回までの総合格者数は約56,000人である。仮に、第2回以降の区分Gでの合格者全員がウ)のタイプだとするとその合計は約27,000人。たいへんにざっくりとした推論だが、これまでの合格者のなかでイ)とウ)の比率はほぼ1:1と考えられる。

■第5回を予測する

では第5回試験はどうなるだろうか? 区分C/D/E/Fの受験者は、第4回と変わらないだろう。変化があるとすれば区分Gだ。

第2回と第3回での区分Gの受験者は1万人を少し越える程度だったが、第4回では約18,000人へと増えた。これは区分Gが第5回までの時限措置であることが意識されてきたことが影響したのだろう。また、新型コロナの影響で、現任者講習がオンラインで実施できるようになったことも後押ししたはずだ。費用も会場で受けるよりはやや安く、受講時間もある程度は自由になったので、受講のために仕事を休む日数を減らせたからである。会場の確保をしなくて済むぶん、募集定員も増えていた。

第5回向けの現任者講習は2021年中に行なわれたが、その募集定員の合計は約20,000人だった。また、第4回の区分Gでの不合格者は約8,000人で、このふたつを合計すると約28,000人となる。この人たちが全員第5回試験を受験したとすると、区分C/D/E/Fの人と合わせると、第1回(約36,000人)に迫る人数が受験することになるだろう。

仮に第5回の区分Gの合格率が5割だとすると、区分Gで約14,000の合格者がでることになる。イ)とウ)の比率は大きくウ)に傾くことになるだろう。それが公認心理師制度の未来にどんな影響を与えるのかは分からない。

第5回の試験のための会場確保は大変だろうから、複数確保される会場のなかには交通が不便なところが確保される可能性もある。経験的には、早めに申し込んだ方が、便の良い会場に割り当てられる可能性が高い。あらかじめ受験申込みに必要な写真や書類や受験料の準備を進めておいて、申込期間が始まったらすぐに申し込んでしまうことをお勧めする。

知り合いが数人受験の予定で、彼らの合格を願うばかりである。

■答え合わせ (2023/2/22追記)

区分C/D/E/Fの受験者は第4回と変わらないと予想したが、区分D1+D2の受験者が1,097人→338人と減少した。

区分Gでの受験者を約28,000人と予測したが、31,154人と予想より多かった。第3回以前に受験した人たちの再受験が意外と多かったのかもしれない。ちなみに区分Gの合格率は55.7%だった。

ちなみに受験した知人は合格した人あり、受験放棄した人ありと様々だった。

第6回の公認心理師試験は2023年5月14日に実施される。経過措置だった区分Gがなくなり、区分A/Bの人たちが登場してくる。受験者数や合格率には少々関心があるので追いかけてみるだろう。

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