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公認心理師資格取得顛末記(その3 登録と職能団体加入) [心理の資格]

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その2の続き)
公認心理師の登録証が来た。

2021年
 2月12日(金)合格発表
 2月14日(日)レターパックで合格通知が到着
 2月16日(火)簡易書留で登録申請を郵送
 3月26日(金)レターパックで登録証が到着

登録の日付は3月5日となっていた。

日本心理研修センターのサイトには
「合格発表直後の2から3か月間は新規登録申請が集中するため,3か月程度かかる場合があります(その他の期間は通常2か月程度かかります)」
とあるが、実際には申請から登録まで2週間登録証が届くまで6週間ほどだったので、思ったより早かった。

[職能団体が二つある]

資格を取得したので職能団体に入った方が良いだろう。研修などの自己研鑽の機会が増えるだろうし、少額でも会費を払うことで政治活動の原資となれば良いのだから。

ところが、公認心理師の職能団体は二つあるのだ。そのことは以前から知っていたが、その話を聞いたときには、心底げんなりした。職能団体が分裂して良いことなど一つも無いのに、と思ったわけだ。もちろん、それぞれ言い分はあるのだろうし、素人はすっこんでろと言われるのが関の山であろう。しかし、もどかしい限りである。

二つの団体とは、
この二つの会の性格の違いは明確ではないが、ウェブサイトをざっとみての印象をひとくさり述べてみよう。

[公認心理師の会]

公認心理師の会は、公認心理師養成大学教員連絡協議会公大協)の有志が中心となって設立したと明言している。

この公大協は、公益社団法人日本心理学会の資格制度調整委員会が中心となって運営することになっている(→公大協の基本理念と組織概要)。

日本心理学会は、医療心理師の資格創設を要望していた団体のはずだ。公認心理師の会事務局が日本心理学会の事務局の中にあることからしても、日本心理学会の影響下にあるのは明白だ。

公大協という存在は、大学および院における公認心理師養成のありかたを議論するとあるので、カリキュラムにコミットするという目的があり、そのためにも現場サイドの職能集団を作る必要があったのだろう。
「研修会は厚生労働省と文部科学省の両方の後援を受けています」というのもいかにもな感じである。

入会金なし。年会費5,000円は職能団体としては格安ではないだろうか。
入会手続きも簡単で、ウェブ上で手続きをして、年度会費(4月から翌3月まで)を払えば入会完了だ。
「他の団体との重複加入も歓迎します」だそうである。

[日本公認心理師協会]

日本公認心理師協会は、公認心理師だけでなく、臨床心理士・学校心理士・臨床発達心理士・特別支援教育士であって、今後公認心理師試験を受ける意思のある人は正会員になれる。職能団体なのに資格者以外が正会員になれるのは珍しいが、「実績ある心理専門職には入会を認め、公認心理師の質の向上に協力・貢献していただく」とその理由を説明している(→一般社団法人 日本公認心理師協会について)。

賛助会員団体、協力・協賛団体には、上述の資格を認定する学会団体だけでなく、都道府県レベルの公認心理師会も名を連ねている。
事務局の住所は一般社団法人日本臨床心理士会の事務局が入っているビルと同じだ。

「多くの関連学会、民間の心理支援職能団体等との連携協力」をうたっている。

入会金10,000円は現在のところ無料(2022年3月まで延長された)。
年会費10,000円だが、公認心理師賠償責任保険にも自動加入となる。年度会費ではなく「入金月の翌月から1年間の会費」だ。
入会には理事会の審査があるので、決定まで最長1ヶ月かかる場合もある、と表記している。
これは公認心理師以外の資格者も正会員になれることと関係しているのかもしれないが、入れたくない相手がいると解釈するのは邪推だろうか。

[どうしたものか]

二資格一法案の頃の医療心理師と臨床心理士という区別が、そのまま職能団体にも持ち込まれてしまっただけの構図に見えなくもない。福祉士の職能団体は統合するという話がでている(→福祉新聞)。公認心理師の職能団体も将来的には統合されるべきだろう。しかし、今は二つあるのである。

これから毎年払っていくことを考えると、両方に入会するのはためらわれる。ましてや現在はそうした仕事から離れているわけだし。どうしたものかと、と思案しながら一日、また一日と過ぎていくのである。

タグ:公認心理師
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スクーリング仲間のグループLINE [社会福祉]

社会福祉士の養成課程のスクーリングで、同じ教室で学んだ17人のLINEグループを作ってくれた人がいた。そのおかげで、皆のその後の動静がわかった。

ただし、お一方だけ、既読数のカウントには含まれるのだが、それ以外の反応がない人がいた。その方を除けば動静が分かる方の母数は16人ということになる。

[試験当日]

国家試験の当日には、お互い励まし合うようなやりとりがあった。
16人のうち、受験したと報告があったのは13人だった。
ほかの3人については、
 スクーリングの段階で資格取得を諦めると宣言した方が一人。
 気がついたら受験申込みの期限を過ぎていたという、うっかりミスの人が一人。
 もう一人の事情は分からない。

[合否結果]

合格発表後には、ぽつりぽつりと結果報告があった。

受験したことがハッキリしている13人のうち、
 合格の報告があったのは5人。
 不合格の報告が7人。
 残りの一人はレスポンスなしだった。

不合格者の中に、点数が91点および92点という方がいた。
過去の合格基準からすれば、90点を超えていれば合格が期待できた。
(このブログでも合格基準を90点と予測していた)。
ふたを開けてみれば今年の合格基準は93点だったわけで、このお二人がショックを受けなかったはずはない。

[来年に向けて]

来年再受験する人たちは、別のLINEグループを作って交流することになった。

合格した人は勉強方法を教えてくれ、という投げかけがあり、それぞれが自分の勉強方法を開陳した。
まとめノートを自分で作ったという人は133点という高得点をたたき出していた。
他は過去問派であった。

私ともう一人の合格者は、同じ学校の精神保健福祉士の短期養成課程に進む。

私は人の顔や名前を覚えるのが苦手である(対人援助をするのにどうかと思うが)。
もはや一緒に学んだ16人の顔もおぼろげでしかないが、来年再チャレンジされる方々の合格を願うばかりである。

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公認心理師の区分Gについて [心理の資格]

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[区分A・区分B・区分C]

公認心理師になるには、四年制大学で必要な科目を履修して卒業し、さらに大学院で二年間必要な科目を履修して課程を修了する必要がある(区分A:公認心理師法7条1号)。

四年制大学で必要な科目を履修して卒業した後に、二年間の実務経験を積んで受験資格を得るルートもある(区分B:法7条2号)。ただし、実務経験として認定される施設はとても少ない。公認心理師法施行規則第5条には、幅広い施設が挙げられているので、そのなかのどれかで実務経験を積めば良いと勘違いする人もいるようだが、第5条には「文科大臣及び厚労大臣の認めるもの」という文言がある。この認定を受けるためのハードルはかなり高く、現在のところ、9施設しかない(公認心理師法第7条第2号に規定する認定施設)。

区分C(法7条3号)は外国の大学と大学院で心理学を修めた人のためのルートで、第3回試験までに17人しか受験者がいない。

というわけで、これから大学生となって公認心理師を目指す人たちにとって、選べるルートは実質的に区分Aのみと言っても言いすぎではないだろう。

さて、公認心理師法は2015年9月16日に公布され、二年後の2017年9月15日に施行された。したがって、この法律で定められた科目を大学・大学院で履修できるようになったのは、翌2018年4月からである。2018年に大学に入学した人たちが、大学院修士課程を修了するのは最短で2024年3月となる。したがって、区分Aの人たちの受験が始まるのは2024年からになる。

(ちなみに、区分Bも2022年春に大学を卒業し、2年の実務経験を積めば、最短で2024年に受験できそうだが、実際には実習プログラムの関係で最低3年かかり、2025年からになりそうだという)

[区分D1とD2]

では、それ以前に大学・大学院で心理学を修めた人たちはどうするのか? 公布日(2017年9月15日)以前に大学院を修了した人たちは、必要な科目を学ぶチャンスがなかったわけなので、救済措置として、科目の読み替えによって、受験資格を得ることができる特例が設けられた(区分D1:法付則第2条第1項第1号)。2018年の第1回試験では、受験者の48%を区分D1の人が占めた。最近の試験では1割ほどに減っている。おそらく今後も減る一方だろう。

また、公布日には大学院に在学していた人たちについても、同様に科目の読み替えによって受験資格が得られる特例が設けられた(区分D2:法付則第2条第1項第2号)。こちらも、新卒の人がいなくなるので、今後は減るだろう。

[区分E・区分F]

公布日には大学に在学していて、卒業後に公認心理師向けの大学院に進んだ人たちも、大学での科目は読み替えで受験資格を得られる特例が設けられた(区分E:法付則第2条第1項第3号)。区分Eの人たちが大学院を修了して受験するのは、2020年と2021年の試験であり、その後は減るはずだ。

そして、公布日には大学に在学していて、卒業後に区分Bと同じ施設で実務経験を二年積んだ人のために区分Fが設けられている(法付則第2条第1項第4号)。しかしこれも区分B同様の狭き門だろう。

[区分G]

最も取り沙汰されているのは、区分Gである(法付則第2条第2項)。これは別名「現任者」と呼ばれる区分で、実務経験のある人に受験資格を与えたものだ。大学や大学院で心理についての教育を受けたことは条件にされなかったので、「心理を学んだことのない者に受験資格を与えている」として、大いに批判されたものだ。しかし、多くの国家資格において、その創設時に現業者を救済する措置が行われており、公認心理師試験に限ったことではない。

例として、医療関係の国家資格について、同様の経過措置が設けられたものを挙げておく。

資格 根拠法 法令(e-Gov)
理学療法士
作業療法士
理学療法士及び作業療法士法 昭和40年法律第137号
視能訓練士 視能訓練士法 昭和46年法律第64号
臨床工学技士 臨床工学技士法 昭和62年法律第60号
義肢装具士 義肢装具士法 昭和62年法律第61号
言語聴覚士 言語聴覚士法 平成9年法律第132号

いずれも、現に業として行なつている者(五年以上)高卒以上大臣の定める講習会を受講という条件がつけられ、経過措置の期間が五年間限りというのも公認心理師法と同じだ。法律は整合性を持たせることが必要であり、これらの法律において現業者への救済措置に専門的教育という条件を加えなかったのであるから、公認心理師だけにその条件を求めることはできない(その必要があるというのなら、法案作成の段階でその根拠を示す必要があった)。であるからして、現業者への経過措置に対して「心理を学んだことのない者に受験資格を与えている」という批判は的外れである。

むしろ、現業者として認める範囲を広くとったことのほうが区分Gの受験者を増やした原因だろう。上記の医療系資格の場合には、現業であるとは「病院、診療所その他省令で定める施設において、医師の指示の下に」業を行うという表現が付則にある。だから現業者であることは、管理者である院長(つまり医師が証明していた。しかし、心理師の業務は医療分野だけに限らない。となると、医療以外の分野での現任者の範囲をどうするかは、法案作成段階での調整が重要になる。業界団体の政治力次第であろう。

法案成立前後のことを振り返ってみると、話題になっていたのは「医師の指示条項」をどうするかという話ばかりだった。(私は門外漢であるから、実際には他のことにも関心が向けられていたことを知らないだけかもしれないが)。現任者の範囲をどうするかとか、誰が現業の証明をするのか、なんてことに関心を持って発信している臨床心理士はいなかったように思う。むしろ、精神保健福祉士の人たちが、自分たちに受験資格が与えられるかどうか気を揉んでいた。

MSW(医療ソーシャルワーカー)が資格化されなかった事情」というエントリでも書いたが、国家資格の創設時には、関係者の様々な思惑がせめぎ合うことになる。あの時、臨床心理士の人たちが「医師の指示条項」ばかりに関心を向けていたのであれば、その他の条項には他分野の人たちの思惑が強く反映される結果となるのは当然だ。法律というのはできてしまうと変更するのは難しい(政府案が発表された時点でと言っても良い)。区分Gに対する臨床心理士の人たちの不満も心情的には理解できるのだが、臨床心理士以外の人からすれば「今ごろなにを言っているのか」という冷めた見方しかできなくて当然だろう。

むしろ、時限措置とは言え大量に生み出された区分Gの(心理を学んだことのない)人たちに、現業を行いながら心理を学ばせ、実習を行うにはどうすれば良いかを考えた方が前向きだろう。

話は脇に逸れるが、2024年以降、毎年何人が区分A(新卒)で公認心理師試験に合格するのかを予想してみよう。これまでの3年間で区分D2および区分Eで約5,500人が受験し、合格率は68%だ。年あたり1,200人強の合格者だ。一方、臨床心理士は(新卒・既卒あわせて)年に二千数百人が受験し、2/3ほどが合格している。それらを踏まえて考えると、区分Aの合格者は毎年千数百人というレベルにになりそうな感じである。

それに対して、区分Gの合格者はすでに22,460人もいて、今後さらに第4回・第5回試験で増えることになる。少なくとも3万人には達するだろう。実に新卒20年分ぐらいに相当する数だ。その多くは心理検査もその結果の評価法も学んだことのない人たちだろう。心理の人たちにとってみれば、この層への教育を行うのは大きなビジネスチャンスに違いない。目ざとい人たちの草刈場になっていてもおかしくないのだが、あまりそういう話も聞かない。まあ、競走馬の調教ばかりやってきた人たちに、いきなり野生馬をつかまえて馴致しろと言うのも無茶かも知れないが。

[子ども家庭福祉士]

現在、子ども家庭福祉士という児童分野の福祉士の資格創設についての議論が進んでいる。精神保健福祉士と並ぶ児童分野のスペーシフィックなソーシャルワーカーという位置づけ(つまり並列)という案と、スクールソーシャルワーカーのように社会福祉士に上乗せする案が対立している。どのような決着になるのかも気になっている。

子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格の在り方その他資質の向上策に関するワーキンググループ (2021/3/25 ワーキンググループへのリンクが間違っていたので修正した)

報告書は両論併記になった。ということは、例によって「業界団体の合意が得られなかった」という理由で資格創設は先送りになったわけだ。続きは社会保障審議会の社会的養育専門委員会で議論されるという。

参考リンク:
公認心理師法 (平成二十七年法律第六十八号)
公認心理師法に基づく指定試験機関及び指定登録機関に関する省令 (平成二十八年文部科学省・厚生労働省令第一号)
公認心理師法施行令 (平成二十九年政令第二百四十三号)
公認心理師法施行規則 (平成二十九年文部科学省・厚生労働省令第三号)

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社会福祉士に合格 [社会福祉]

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お陰様で、第33回社会福祉士試験に合格した。応援、協力してくださった皆様に感謝をお伝えしたい。

[受験勉強]

例によって、試験の直前に休暇を取り、金曜・土曜と過去問に取り組んだ。間違えた問題には付箋を貼り、二回目にはその問題だけ解いていく。いつもどおり、問題集が貼り付けた付箋でハリネズミのようになった。そのようにして、できない問題をつぶしていくわけだが、今回は「捨て科目」も作った。

たとえば、「福祉行財政と福祉計画」という科目では、行政の作る様々な計画の更新間隔が何年か、計画を作るのは都道府県か市町村か、計画を作るのは義務か努力義務か、などを問われるわけだが、それらを全部憶える努力は放棄した(無理だよ)。

社会福祉士試験では、0点の科目があると不合格になってしまうので、捨て科目を作るのは得策ではない。しかし、0点を取るのは難しいのである。試験は多肢選択式だ。五肢択一の問題が一番多く、ほかに四肢択一と五肢択二の問題が少数ある。ランダムに選択肢を選んだ場合の正解期待率は、それぞれ20%、25%、10%だ。正解が分からなくても(ざっくり平均して)2割ぐらいの正答率が期待できてしまう。1科目当たり7問ぐらいあるので、0点を取る方が難しいのである(0.8の7乗は約0.2だから、7問全問不正解の確率は2割ぐらい)。むしろ、生半可な知識があるために、問題のひっかけにハマってしまうことも多い。捨てる勇気を持つことも大事だ。

もちろん、過去問がそのまま出題されることは滅多にない。しかし、過去問の解答解説を読んで、それぞれの選択肢がなぜ正解・不正解なのかを理解しておけば、似たような問題には答えられる。(なので、私は一問一答式に加工された問題集には手を出さない。勉強の効率が悪いからである)。

[試験当日と自己採点]

試験会場には開始の1時間前に入るつもりだったのだが、駅から会場が遠かったので、到着したときはすでに開場から15分ぐらい過ぎていた。情報処理技術者試験や公認心理師試験では、開場直後には部屋に数人しか入室していなかったのに、社会福祉士試験では、すでに9割の座席が埋まっていた。この違いは何だろうと思ったのだが、若い人が多いところからすると、大学新卒の受験者が多いのだろう。開始までの時間は、例によって過去問に一問でも多く取り組んだ。記憶力が良くないので、直前の記憶が頼りなのだ。

午前中だけで諦めて帰る人はごく少なかった。試験は午後3時半で終了。出口で唐人館学園が解答速報のチラシを配っていた。帰宅後はそれで採点したら103点だった。翌日以降、大原学園ユーキャン赤マル福祉と次々と解答速報が発表になった。この三つは解答例が同じであり、私の自己採点は107点だった。結局、この三社は、後の公式正答とまったく同一であり、唐人館は7問相違があった(速報性に価値を置いているのだろう)。

[合格発表]

107点あれば大丈夫だろうと思ったが、私は以前に情報処理技術者試験でマークミスで不合格になった経験があり、合格発表まで毎回気が抜けない。発表日の午後2時には外出していたので、電車の中でスマホで自分の番号を確認した。翌日には郵送で合格証が届き、その週のうちに登録の手続きをした。

今回の合格基準は93点、合格率は前年と同じ29.3%だったそうだ。赤マル福祉では、問題の難易度は例年並みだったものの、新型コロナウイルスの影響で受験を断念した人が多く受験者が減少し、一方で受験した人たちは外出自粛により受験勉強の時間が増えたために平均点が上がった、という分析だった。過去問をひたすらやる私からすれば、今年の試験はすこし易しい印象があったがどうだろうか。

[受験者数]

今回の受験者数は35,287人。現カリキャラムになった第22回(2010年)以後の最低を記録した。もちろんコロナ禍の影響はあるだろうが、受験者数は第29回(2017年)以降毎年減少している。その大きな理由は(「社会福祉士の試験を受ける人たちの内訳」にも書いたが)四年制大学新卒受験者の減少である。新卒受験者の減少は10年前から続いていたが、それを既卒受験者の増加が補っていた(2015年頃までは新卒の低い合格率が既卒受験者を多く作り出していた)。それが2017年以降は既卒受験者も大きく減りだしため、全体の受験者数の前年割れが続いていた。一般養成・短期養成課程の新卒受験者は漸増しているが、全体の減を補えるほどではない。

例年通りの減少幅であれば、今年の受験者は37,500人ぐらいだっだろう。現実はそれを2千人ほど下回った。この数がコロナの影響と考えて良いだろう。

近年は50%台半ばだった四年制大学新卒受験者の合格率が、今年は50.6%と少し下がった。これは、大学がリモート授業になった影響があるのかもしれない。

[今後の予想]

ここ10年、四年制大学新卒受験者が減少し、一方で合格率は上昇してきた。これは、四大卒の少数精鋭化が進んだと言える。一般養成・短期養成課程の合格率に大きな変化はない。となると、今後は全体として受験者のレベルが高止まりする、と予想して良いだろう。

もし今後も、試験問題の難易度が変わらず、しかも合格率を3割に保つとすると、合格基準点は今年のように93点やそれ以上に上がってしまいそうだ。6割(90点)という目安を掲げている以上、そこから離れた点数が常態化するのは好ましくないだろう。とすると、今後は、難易度を上げるか、合格率を上げるか、どちらかの調整が行われる可能性が高い、と予想しておく。

[コスト]

資格取得にかかったコストを書いておく:
 ①入学選考料 10,000
 ②一般養成課程学費 280,000
  (内訳は入学金30,000、授業料200,000、面接授業参加費50,000)
 ③教科書21冊 44,100
 ④受験手数料 15,440
 ⑤過去問問題集1冊 3,190
この他に、合格後の登録手続きに、
 ⑥登録免許税 15,000
 ⑦登録手数料 4,200
合計 371,930

このうち、①~③は当時勤めていた施設の雇用側に負担にしてもらったので、自己負担は37,830円にすぎない(事情はこの回を参照)。

この他に、
 ・国家試験対策講座(3日間) 8,000
 ・模擬試験 6,900
 ・過去問問題集3冊 9,790
の三つを申し込んだり買ったりしたのだが、どれも参加せず、使用せずに終わったので、合計24,690円が無駄になった(もったいない)。
過去問問題集3冊については、よく選ばずに買って失敗してしまった(これももったいないことをした)。

この他に、面接事業(スクーリング)への交通費や、書類の郵送費用、写真代、住民票の写しの費用など、細々とした支出があった。遠方からスクーリングに来ていた人たちは、飛行機代やらホテル代がかなりかかっていたはずだ。

[余談]

一年半の養成課程を振り返ってみると、スクーリングが楽しかったという思い出ばかりである。講師の先生方が教えてくださることも興味深く、大教室での講義も刺激があった。なので、4月から精神保健福祉士の短期養成課程に入ることにした。学費は220,000。もちろん全額自腹である。専門実践教育訓練給付金制度が使えるので、順調にいけば半額の110,000の給付を受けることができる予定だ。
タグ:社会福祉士
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近年3年の区分別受験者数・合格率 [社会福祉]

2021年2月に行われた試験(社会福祉士は第33回、精神保健福祉士は第23回)の結果が発表されたので、「近年3回の平均」のデータを更新した。

なお、各数字は四捨五入によって100人単位、1%単位にしてある。

[社会福祉士]

社会福祉士 第31~33回平均
受験者 合格者 合格率
四年制大学卒 新卒 8,400人 4,500人 54% 3,400人
既卒 14,900人 1,700人 13%
短大卒+実務   2,000人 300人 13%
一般養成課程 新卒 5,200人 3,000人 57% 1,300人
既卒 7,600人 1,300人 17%
短期養成課程 新卒 1,000人 400人 39% 400人
既卒 1,500人 200人 16%

※:不合格者数と翌年の既卒受験者数の差

[精神保健福祉士]

精神保健福祉士 第21~23回平均
受験者 合格者 合格率
四年制大学卒 新卒 1,600人 1,200人 74% 300人
既卒 900人 200人 21%
短大卒+実務   300人 100人 26%
一般養成課程 新卒 1,000人 700人 72% 200人
既卒 700人 200人 23%
短期養成課程 新卒 1,700人
1,600人 94% 0人
既卒 300人 100人 48%

※:不合格者数と翌年の既卒受験者数の差

[合格率の比較]

社会福祉士合格率 対 精神保健福祉士合格率
新卒 既卒
四年制大学卒 54% 対 74% 13% 対 21%
短大卒+実務 12% 対 26%
一般養成課程 57% 対 72% 17% 対 23%
短期養成課程 39% 対 94% 16% 対 48%


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社会福祉士試験 合格ライン予想 [社会福祉]

今年第33回の社会福祉士試験の合格基準予想をしてみる。

この予想は、あえて結果発表の直前に掲載することにした。

こんなブログでも100人以上の人が読みに来てくださる。そのなかには、今回の第33回試験を受験され、自己採点もして、合格ラインが気になっている人もいらっしゃるだろう。

予想点付近の人は、数字を見て安堵したり不安になったりするかもしれない。たいして根拠のない数字でも、人の心は影響を受ける。それが嫌なら見なければ良いと言う人もいるが、あれば見たくなるのが人情というものだろう。私だって、他のサイトの予想の数字を検索してみたりしているのだから。

そこで、合格基準点の予想は発表の直前に掲載することにした。それなら、この予想に振り回される人がいたとしても、発表までの1~2日間に限られるだろうから。

[予想の方式]

予想は、過去の試験の合格基準点と、赤マル福祉合格サポート自己採点の平均点を使った単純な方式だ。

過去の合格基準点は、社会福祉振興・試験センターのページのほか、いろいろなサイトに掲載されている。

赤マル福祉の平均点のデータは、社会福祉士国家試験「今年こそは絶対合格計画」というブログの「【社福・精神】赤マル福祉過去11年分自己採点集計結果まとめ」というエントリにあるものを使わせて頂いた。手間暇かけて集められたデータを勝手に使ってしまって申し訳ない。

第25回(2013年)から第32回(2020年)までのデータはこうなっている。

合格基準点 赤マル福祉平均点
第25回 72 78.7
第26回 84 87.4
第27回 88 89.6
第28回 88 89.6
第29回 86 90.3
第30回 99 98.9
第31回 89 93.5
第32回 88 94.6
第33回 96.6


このうち、第25回の72点と、第30回の99点というデータは、大きく外れているので、使わないことにした。(外れ値の影響を除くため)

他の6回分のデータを、赤マル福祉自己採点の平均点をX軸に、合格基準点をY軸にプロットした散布図が以下だ。(SSブログの画像表示は、なぜこう不鮮明になるのか・・・)

過去6回分の散布図

近似線も入れてある。近似線の式で分かるように、赤マル福祉の平均点が2点あがるごとに合格基準が1点あがるぐらいの比率になっている。この近似線と合格基準点の差は最大1.5点だ。

さて、赤マル福祉の自己採点の平均点は、新しく自己採点をする人が加わると変動する。この原稿を書いている現在(3/12)96.6点となっている。これを上記の近似線(y=0.4947x+43.596)で計算すると89.9点となる。

従って、合格基準の予想は 89.9 ± 1.5点 とする。

つまり、88.4~91.4点の中に収まるという予想だ。
整数にするときに、狭くとれば89~91点、広くとれば88~92点ということになる。

データ数も少なく、統計処理もいい加減なので、あまり当てにしないで欲しいが、ぴったり6割の90点ではないかと予測しておこう。

まあ、もちろん、予想が当ることよりも、自分が合格することを願っているわけだ。
どうか皆様も合格されますように。

――

3月15日に合格発表があった。

合格基準は93点。予想とは3点も違っていた。

社会福祉士国家試験「今年こそは絶対合格計画」ブログで取り上げていただいたこともあり、1,000人を越える方にこのエントリをご覧頂いたのだが、大きく外してしまってお恥ずかしい限り。

ちなみに、合格率は29.3%と昨年と同じだった。
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社会福祉士と精神保健福祉士の難易度 [社会福祉]

社会福祉士と精神保健福祉士のどちらの受験が難しいのだろうか?

[合格率の違い]

合格率を比較すると、社会福祉士試験が3割弱精神保健福祉士試験が6割ほどなので、社会福祉士のほうが難しいように思える。

[受験者数の違い]

ただ、単純に比較はできない。社会福祉士の受験者数が毎年4万人程度なのに対し、精神保健福祉士の受験者は7千人弱と少ない。それはなぜだろうか?

[ニーズの違い]

一つには、社会福祉士がジェネラルなソーシャルワーカーであるのに対し、精神保健福祉士は精神保健の分野に特化したソーシャルワーカーだという違いがあるので、ニーズが違うのだろう。一般病院における入退院支援加算や介護支援等連携指導料を得るためには社会福祉士の配置が必要だ。また地域包括センターの必置となっているのは社会福祉士だ。一方、精神保健福祉士は、精神科病院における精神保健福祉士配置加算の対象となっている。

ニーズの違いは、受験者層に違いをもたらすだろうから、合格率の違いだけで、どちらが難しいかを考えるのは適切ではない。

[区分別の表]

社会福祉士と精神保健福祉士の資格を取る順番で紹介したように、仮にこの両方の資格を順番に取る場合、社会福祉士→精神保健福祉士の順で取得するのが良い。では精神保健福祉士試験の受験者のなかで、社会福祉士の資格を持つ人の割合はどれぐらいだろうか? 前回のように日本ソーシャルワーク教育学校連盟のページからデータを拾ってみた。精神保健福祉士の受験者について、近年3回(2018~2020年・第20~22回)の平均値の表がこれだ。

第20~22回平均
受験者 合格者 合格率
四年制大学卒 新卒 1,700人 1,300人 76% 200人
既卒 1,000人 200人 22%
短大卒+実務   300人 100人 26%
一般養成課程 新卒 1,100人 800人 72% 100人
既卒 800人 200人 22%
短期養成課程 新卒 1,800人
1,700人 94% 0人
既卒 300人 100人 46%

※:不合格者数と翌年の既卒受験者数の差

すでに社会福祉士の資格を持つ人は短期養成課程を経るだろう。近年3年の平均で、短期養成課程の新卒者は、新卒受験者全体の約4割を占めている(1,800÷(1,700+1,100+1,800)=0.39)。そして、短期養成の新卒者の合格率は何と94%という高さである。やはり、すでに社会福祉士を持つ人たちが、精神保健福祉士試験の合格率を押し上げているのは確かだ。

[区分別の合格率を比較]

しかし実は、短期養成だけでなく、四年制大学卒・短大卒+実務経験・一般養成課程のすべてにおいて、新卒・既卒を問わず、社会福祉士よりも精神保健福祉士のほうが合格率が明らかに高い。

社会福祉士合格率 対 精神保健福祉士合格率
新卒 既卒
四年制大学卒 56% 対 76% 13% 対 22%
短大卒+実務 11% 対 26%
一般養成課程 55% 対 72% 19% 対 22%
短期養成課程 42% 対 94% 17% 対 46%

この表を見ると、社会福祉士試験よりも精神保健福祉士試験のほうが少し難易度が低い(易しい)と言えるだろう。

[難易度の違いはどこからくるか]

試験の科目数は、社会福祉士が18科目、精神保健福祉士が16科目だ。ただし、このうち11科目が共通科目である。だから、専門科目は、社会福祉士が7科目、精神保健福祉士が5科目となる。専門科目の中に相談援助関係が2科目があるのはどちらも同じだ。

精神保健福祉士の残りの3科目が精神保健分野に特化しているのに対して、社会福祉士の残りの5科目は高齢者・児童と母子・就労支援や更生保護・経営論と幅広い。そう考えると、専門科目は精神保健福祉士のほうが精神保健の分野に特化しているだけ学びやすいと言える。おそらくそれが、難易度の違いをもたらしているのだろう。

とはいえ共通科目11科目が、全体の6割以上を占めている以上、難易度に大きな差は生じにくいはずだ。合格率の大きな差は、短期養成課程経由の人たち(その多くは社会福祉士の資格保持者)の合格率の高さが主因であう。

私の周りで社会福祉士と精神保健福祉士の同時受験をした人は数人しか知らない。両方合格した人もいるが、精神保健福祉士のみ合格し、社会福祉士に落ちた人もいる(そして逆は聞いたことがない、サンプルが多ければあり得るとは思うが)。

だから、本当にどちらの資格でも良いから取得したいという人は、精神保健福祉士のみを狙うという選択もあるわけだ。
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社会福祉士の試験を受ける人たちの内訳 [社会福祉]

社会福祉士試験の登録者数は約25万人だ(2021年1月末、登録者数の状況)。

毎年の受験者数や合格率は、過去の試験問題のページにある。

近年3回(2018~2020年・第30~32回)の平均を出してみた(以下、10の位で四捨五入し100人単位にしてある)・・・来週第33回の結果発表があるので、あわててこの文章を書いている。

受験者 合格者 合格率
42,000人 12,000人 30%

もうちょっと細かな数字が欲しいところだ。実は、養成課程のスクーリングの第1回でその数字をちょっと聞いたのだが、記憶が不正確だったので発表されている数字を探してみた。

日本ソーシャルワーク教育学校連盟の 国家試験情報のページに、学校別の数字が掲載されており、各ジャンルごとの新卒・既卒の数字も載っている。近年3回(第30~32回)の平均の数字を計算してみた。

[四年制福祉系大学卒]

四年制の福祉系学部を卒業見込みで受験する人たちは新卒にカウントされる。卒業の年に合格できず、翌年以降受験する人たちは既卒にカウントされる。近年3回の平均が以下の表だ。合格率は新卒が55%で、既卒は13%だ。

第30~32回平均
受験者 合格者 合格率
四年制大学卒 新卒 8,600人 4,700人 55% 3,500人
既卒 15,000人 2,000人 13%

近年3回について、不合格者数と翌年の既卒受験者数を比較すると、約3千~4千人の差がある(平均すると約3,500人・・上の表の)。つまり、毎年新規に約8,600人が受験しているが、同時に約3,500人の不合格者が翌年の受験を諦めている計算になる。

もちろんこれは、コホートを追跡調査をしたわけではなく、統計上の数字からの概算に過ぎない。しかし学部卒者の約4割もが資格取得を諦めているという数字は、ちょっと衝撃的だ。(3,500÷8,600=0.40という計算)。ただ、既卒者の合格率が13%と低いのでは、諦めたくなる気持ちも分からなくはない。

現在のカリキュラムになった2010年(第22回)試験の数字が下の表だ。当時と比べると、新卒での受験者数が5千人以上減って、合格率が35%→55%と上昇している。

第22回
受験者 合格者 合格率
四年制大学卒 新卒 14,200人 5,000人 35% 6,000人
既卒 15,000人 2,200人 15%

この年の新卒・既卒あわせた不合格者数は約22,000人。それに対して翌年の既卒受験者数は約16,000人。実に約6,000人もが翌年の受験を諦めている計算になり、新卒受験者数に対する比率は約4割で、この数字は10年後の現在も経ってもあまり変わっていない。

[福祉系短大卒+実務経験]

福祉系の短大を卒業し、その後に実務経験を積んで受験資格を得た人たち。実務経験が必須なので新卒という分類がない。

第30~32回平均
受験者 合格者 合格率
短大卒+実務   2,300人 300人 11%

10年前は毎年3,000人受験していたのに、こちらも減っている。

[一般養成課程]

社会人の一般養成課程の近年3年の平均はが下の表だ。既卒の合格率は学卒や短大卒より少し高い。

第30~32回平均
受験者 合格者 合格率
一般養成課程 新卒 5,300人 3,100人 55% 1,000人
既卒 8,100人 1,500人 19%

近年3年間について、不合格者数と翌年の既卒受験者数を比較すると、毎年1割ほどの差がある。つまり、一般養成課程を出て、試験に落ち、翌年の受験を諦める人の割合は約1割ということか。新卒受験者の2割弱が資格取得を諦めている計算になる(1,000÷5,400=18%)。これは、学卒者における4割という数字に比べれば低い。やはり「なにがなんでも資格が必要」な人の割合が高いのだろう。

ちなみに、2010年(第22回)比べると、新卒の受験者が400人ほど増えており、新卒の合格率に変化はないが、既卒者の合格率はやや下がってきている。

[短期養成課程]

社会人の短期養成課程の受験者はそれほど多くない。
不合格者数と翌年の既卒受験者数の差は15%ぐらい。これは新卒受験者の25%が資格取得を諦めている計算になる(250÷1,000=25%)。こちらも資格取得への切迫感が感じられる数字だ。

第30~32回平均
受験者 合格者 合格率
短期養成課程  新卒 1,000人 400人 42% 300人
既卒 1,500人 300人 17%

2010年と比べると、短期養成課程経由の受験者は約800人増えている。

[全体の表]

第30~32回平均
受験者 合格者 合格率
四年制大学卒 新卒 8,600人 4,700人 55% 3,500人
既卒 15,000人 2,000人 13%
短大卒+実務   2,300人 300人 11%
一般養成課程 新卒 5,300人 3,100人 55% 1,000人
既卒 8,100人 1,500人 19%
短期養成課程 新卒 1,000人 400人 42% 300人
既卒 1,500人 300人 17%

※:不合格者数と翌年の既卒受験者数の差

[ちょっとまとめ]

私は、社会福祉士の資格は、社会人の養成課程を廃して福祉学部卒だけにした方が良いのではないか、と考えていた。専門性の確立のためにはそのほうが良いと思ったからだ。だが、今回のデータを集計してみて考えが変わった。なぜなら、福祉系の大学を卒業しても、社会福祉士の資格を取れずに諦める人の割合がかなり高そうだからだ(今回概算で出した4割という数字がどれだけ信憑性があるかはともかく、事前に予測していたよりかなり高い数字がでてしまった)。

学部の新卒受験生は、10年前と比べて5千人以上減った。大学が定員を減らしたのか、学生が集まらなくなったのか、卒業しても国試を受けない人が増えたのか・・・。いずれにせよ少数精鋭になり、新卒の合格率は上がった(35%→55%)。既卒の受験者数は一時期増えたが、ここ数年は毎年減少している。既卒の合格率は10%台前半を低迷している。

(学部の既卒者のための、合格サポートという商売も成り立つかもしれない)

社会人のための養成課程は安定稼働している感じだ。既卒の合格率が10%台になるのは大学卒の人たちと同じであるが、合格できなくても受験を諦めてしまう人の比率は少ない(一般養成で全体の18%、短期養成で25%と推算)。そして、学部卒の受験者が毎年減少しているのに対し、養成課程は一般・短期ともにすこしずつ増えている。

この傾向がこのまま続くと、現在は受験者・合格者ともに学部卒の人たちが多数派だが、やがては社会人の養成課程の人たちが多数を占めるようになりそうだ。

学部の学生の減少は、大学にとっては大変な事態だろう。原因は少子化だけではないように思う。社会福祉は学問としては歴史が浅いが、学ぶに値する体系を持っている。現場たたき上げも悪くはないが、学問としての未来も明るいものであって欲しい。

(計算が間違っていたところがったので修正した)
タグ:社会福祉士
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社会福祉士と精神保健福祉士の資格を取る順番 [社会福祉]

精神保健福祉士受験資格取得ルート図
社会福祉士精神保健福祉士の両方の資格を取りたい人もいる。

福祉系大学を卒業して両方同時に受験する人もいる(第1号コース)。通信制の大学もあるので、働きながらでも可能だ。しかし、同時進行はかなり大変で、社会人であれば、順番に取るのが無難だろう。

その場合、
・社会福祉士→精神保健福祉士
・精神保健福祉士→社会福祉士
のどちらの順番が良いだろうか。

これは「社会福祉士→精神保健福祉士」の順が良い

社会福祉士の資格を持っていると、精神保健福祉士の短期養成課程(9ヶ月)に入れる(第11号ルート)。これは一般養成課程(1年半)にくらべて9ヶ月短い。つまり1年早く精神保健福祉士を受験できる。

逆に、精神保健福祉士の資格では、社会福祉士の短期養成課程に入ることができず、一般養成課程しか選べない。

どちらの順番でも、二つ目の資格の試験では共通科目を免除して貰える。しかし、一般養成課程ではもう一度それらの科目も学ばなければならない。試験では免除して貰える科目を学ぶのはかったるいだろう。

細かなことだが、試験の日数も変わってくる。試験は土曜日が精神保健福祉士の専門科目、日曜の午前が共通科目、午後が社会福祉士の専門科目だ。社会福祉士の試験は日曜日だけで済む。それから翌年以降に精神保健福祉士を受験すれば(専門科目免除なので)土曜日だけ試験を受ければ済む。つまり合計2日間だ。逆の順だと、精神保健福祉士の受験に2日費やすので、合計3日間になる。小さな違いだが。

それらを考えると「精神保健福祉士→社会福祉士」の順番で資格を取得する人は少ないだろう。

精神保健福祉士の受験者の多くが社会福祉士資格を持ち共通科目の免除を受けている人たちなのかもしれない(その比率は非公開)。社会福祉士試験の合格率(30%弱)に比べて、精神保健福祉士試験の合格率が高い(約60%)のは、これも理由の一つかも知れない。すでに一つの資格を得ている人たちであれば、合格率が高くなって当然だからである。

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社会福祉士と社会福祉主事 [社会福祉]

私は福祉施設に入職するにあたって、精神保健福祉士あるいは社会福祉士の資格を取らせてくれ(通信教育に必要な金も出してくれ)という条件を付けた・・・破格の待遇だと言う人もいるが、それなりの事情もあった。その頃は福祉についての知識もろくになかったので、どちらの資格でも良いと思っていた。

img_route_s.png

[四大卒の人の資格取得コース]

四年制大学卒の人は、いきなり社会福祉士(あるいは精神保健福祉士)の一般養成課程に入学することができる。そして、1年半その通信課程で学んで、修了すれば、受験資格が得られる。通信教育だから働きながら学ぶことも可能だ。(第3号のルート)。

ただし、この場合、5週間ぐらいの「実習」を受ける必要がある。実習期間中は仕事を休まねばならないが、資格の勉強のために1ヶ月以上休める職場はなかなかないだろう。しかも、実習を受けるための費用が追加で30万円ぐらいかかる。つまり、仕事をしている人にとっては、実習を受けづらいことが大きなハードルである。

1年目 社会福祉士一般養成課程・実習込み(1年目)
2年目 社会福祉士一般養成課程・実習込み(2年目)

大卒者の場合、1年間福祉の現場で実務経験を積めば、実習は免除してもらえる。だから、実務経験1年+一般養成課程1年半=2年半で受験資格を得るのが最短コースだ。(厳密には入職日と養成課程の開始日にもよるが、大ざっぱにどちらも4月開始として)。

1年目 実務経験1年目
2年目 社会福祉士一般養成課程(1年目)
3年目 社会福祉士一般養成課程(2年目)

[高卒の人の資格取得コース]

ところが私は高卒(大学中退)である。この場合、一般養成課程に入るのに4年の実務経験を要求される(その代わり、実習は免除になる)。だから、実務経験4年+一般養成課程1年半=5年半で受験資格を得るのが最短コースだ。(第11号ルート)

1年目 実務経験1年目
2年目 実務経験2年目
3年目 実務経験3年目
4年目 実務経験4年目
5年目  社会福祉士一般養成課程(1年目)
6年目
社会福祉士一般養成課程(2年目)

[裏技的短縮コース]

しかし、社会福祉士に限れば、これを3年9ヶ月に短縮する技がある(第9号ルート)。まず、社会福祉主事の養成機関を修了する。これは1年間の通信教育だ。それから実務経験を2年積めば、社会福祉士の短期養成課程に入れる。こちらは9ヶ月である。つまり、社会福祉主事養成機関1年+実務経験2年+短期養成課程9ヶ月=3年9ヶ月で受験資格を得られる。これが、高卒の人間が社会福祉士を得る最短ルートのはずだ。・・・まあ、通信制の福祉系大学で4年学ぶという手段(第1号ルート)もあるが、費用と手間は比較にならない。

1年目 社会福祉主事養成課程
2年目 実務経験1年目
3年目 実務経験2年目
4年目 社会福祉士短期養成課程

養成課程を二つ経ることで、費用は余分にかかるが、社会福祉士の養成課程が短期養成になるので、一般養成課程に比べれば額が減り、全体のコスト増はそれほどでもない。また、同じ科目を二回学ぶというわけでもない。

[3年9ヶ月のはずが7年半も]

私は入職時に「なるべく早く資格を取りたい」と言ったようである(憶えていないが)。雇用側では、そのことを慮ってくれ、この裏技的短縮コースを提案してくれた(のだと思う)。だが、入職直後に、社会福祉主事の養成課程に入らないかと言われたとき、1年目は仕事に慣れるのが精一杯で、と断ってしまった。仕事で大変だったのは本当だが、第9号ルートがなんたるかも知らなかったし、調べようともしなかった。もし、知っていたら、無理してでも1年目から学んであろう。だが、これでまず1年遅延した。

2年目にようやく社会福祉主事の養成課程に入った。10万円近い費用は雇用側で払ってくれた。それだけでなく、三浦半島の風光明媚な施設で行われる5日間の面接授業(スクーリング)の宿泊や食事の費用も出してもらった(数万円)。もちろんこの5日間は自分の仕事からは離れているわけである。

1年で終えられるはずの課程だったが、実は2年かかった。21科目あるうちの一つを落としてしまったのだ。各科目ごとに、マークシート式の自宅でやる試験と、小論文が課された。科目ごとに用紙が決まっているのだが、間違えて別の科目の用紙に小論文を書いて提出してしまったのだ。そのミスによって、小論文は未提出扱いとなり、翌年その科目だけ再履修になった。再履修の費用2万円弱は自腹を覚悟したが、それも雇用側で出してくれた。ともあれ、ここでさらに1年遅延した。

2年遅延したおかげで、第11号ルートと取得までの年数に差がなくなってしまった。ともあれ、入職して4年経つときに、社会福祉士の養成課程に入れてくれという話をしたのだが、雇用側でゴタゴタがあり、それどころではなくなってしまった(経営者の交代があった)。そこで1年延ばさざるを得なくなった。これで合計3年遅延である。

そして翌年、ようやく社会福祉士の養成課程に入れたのだが、どうせここまで遅れたんだったら、社会福祉士の短期養成課程(9ヶ月)ではなく、一般養成課程(1年半)に入ろう、と思った。その方がじっくり社会福祉が学べるだろうと考えたからだ。これでさらに9ヶ月遅延である。費用は少々増えるが、雇用側が払う約束になっているのだからと頼んだら・・・払ってくれた。すでに入職から5年経過していた。

短期養成に比べて一般養成の課程は科目数も多く、出すレポートの数も倍以上だった。だが、短期にはそれなりの苦労もあるという。たまたま短期の人たちと同じ日にスクーリングがあり、廊下で立ち話をした人が「短期はキツイ、一般にすれば良かった」とこぼしていた。短期は科目数が少ないが、期間も短く、しかし国家試験の科目数は同じなので、試験準備が間に合わないというのだ。

とは言え、一般養成課程の1年半は長かった。なにせ、その途中で私は勤務先の施設を退職してしまったのだから。ゴタゴタしたから辞めたわけだけれど、社会福祉主事と社会福祉士の両方の金を出してもらったのだから、その点は感謝せざるを得ない。

最短3年9ヶ月であるところを7年半もかけてしまったのは、間抜けとしか言いようがない。しかし、ほぼ同じ科目を2回学んだのは、国家試験の点数に反映されたと思っている。

1年目 実務経験1年目
2年目 社会福祉主事養成課程
3年目 実務経験3年目
4年目 実務経験4年目
5年目 実務経験5年目
6年目 社会福祉士一般養成課程(1年目) 
7年目 社会福祉士一般養成課程(2年目)

[社会福祉主事任用資格の必要性]

ちなみに、障害福祉の分野で働き続けるのならば、社会福祉主事任用資格はなるべくはやく取得したほうが良い。施設にはサービス管理責任者(サビ管)を置く必要があり、サビ管の資格を取るということが雇用される側にも、雇用側にもメリットをもたらす。

サビ管の資格は都道府県の行う研修を受けるだけで良いのだが、研修を受けるためには実務経験を要求される。直接支援であれば10年必要だ(長いよね)。ところが、社会福祉主事の任用資格を持って仕事をすれば、この期間が5年に短縮される。相談支援事業所の相談支援専門員についても、事情は同じだ。

実務経験の1年目に社会福祉主事の養成課程を経て任用資格を得れば、その後5年(つまり合計6年で)これらの実務経験要件を満たせるのだ。

一方で、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取っても、その後で必要な実務経験(3年)を積まなければ、サービス管理責任者や相談支援専門員の研修は受けられない。

つまり、実務経験1年目に社会福祉主事の任用資格を得ることで、社会福祉士受験資格への期間が短縮できるだけでなく、サービス管理責任者や相談支援専門員になるのに必要な実務経験も短縮できるのである。(あくまで高卒の場合)。

その点から見ても、私が社会福祉主事任用資格を1年目で取らず、3年もかけてしまったのは悪手としか言いようがない。

(2019年より制度が見直され、サビ管の直接支援の実務経験要件が10年→8年に短縮された。また基礎研修は必要な実務経験年数マイナス2年で受けられるようにもなった)。
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