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2024割れ問一覧 第36回社会福祉士・第26回精神保健福祉士 [社会福祉]

3月8日更新:正答を反映させた。

社会福祉士や精神保健福祉士の試験後には各社から解答例が発表され、受験者はそれを見ながら自己採点を行う。
だが、正答が会社ごとによって異なることがあり、受験者を悩ませるのである。
いわゆる「割れ問」である。
その割れ問の実態を把握するのがこのエントリの目的である。
ちなみに昨年は精神保健福祉士の専門科目のみチェックしたが、
今年は、社会福祉士・精神保健福祉士の共通・専門科目すべてをチェックした。
(たぶんこんなことやっている人は他にいない)

社会福祉士試験の解答例を発表しているのは、
藤仁館
ケアサポ(中央法規)
赤マル福祉
広島福祉
ふくし合格
カイゴジョブ
フチガミ
大原学園
ユーキャン

精神保健福祉士試験の解答例を発表しているのは、
藤仁館
ケアサポ(中央法規)
赤マル福祉
広島福祉
ふくし合格
カイゴジョブ
フチガミ

■ 共通科目

さて、共通科目には割れ問はなかった(すごいじゃないか!)。

■ 社会福祉士専門科目

1問だけ。

問題101:行動変容アプローチ
×4 ベルの音と作業を条件づける
 ケアサポ・カイゴジョブ
5 先行条件と結果を分析する
 藤仁館・赤マル福祉・広島福祉・ふくし合格・フチガミ・大原学園・ユーキャン

■ 精神保健福祉士専門科目

割れ問が8問。全80問中の一割が割れ問というのは受験者にとっては悩ましい。

問題27:権利擁護の調整機能
×1 生活困窮者自立支援事業の情報提供
 ケアサポ・カイゴジョブ
5 消費生活センターへつなぐ
 藤仁館・赤マル福祉・広島福祉・ふくし合格・フチガミ

問題32:当事者の情報発信
1,4 ソーシャルインクルージョン+コンシューマー・イニシャティブ
 ケアサポ・赤マル福祉・広島福祉・ふくし合格・カイゴジョブ・フチガミ
×1,5 ソーシャルインクルージョン+アクセシビリティ
 藤仁館

問題40:IMR(疾病管理とリカバリー)
2 ストレス-脆弱性モデル
 ケアサポ・赤マル福祉・広島福祉・ふくし合格・カイゴジョブ・フチガミ
×4 オーダーメイド
 藤仁館

問題43:社会リハビリテーションにおけるアセスメント
2 利用可能な福祉サービス事業所の状況把握
 藤仁館・ケアサポ・赤マル福祉・広島福祉・ふくし合格・カイゴジョブ
×4 地域のネットワークを確認
 フチガミ

問題52:クライアントの不安解消
4 危機介入アプローチ
 ケアサポ・赤マル福祉・広島福祉・ふくし合格・カイゴジョブ・フチガミ
×5 心理社会的アプローチ
 藤仁館

問題55:就労支援事業所の紹介
×1 ネゴシエーション
 藤仁館・ケアサポ・広島福祉
5 リファーラル
 赤マル福祉・ふくし合格・カイゴジョブ・フチガミ

問題57:ASDの人の就労支援
2,3 作業手順書の作成・発注データの確認作業を担当
 藤仁館・ケアサポ・赤マル福祉
×2,5 作業手順書の作成・実習時間を増やす
 広島福祉・ふくし合格・カイゴジョブ・フチガミ

問題72:地域相談支援サービス
2 サービス等利用計画の作成が必要
 ケアサポ・赤マル福祉・広島福祉・ふくし合格・カイゴジョブ・フチガミ
×4 就労定着支援との併給が可能
 藤仁館

■ 全社不正解の問題

なんと、模範解答を発表した全社が間違えるという問題があった(当然割れていないので上記のリストには載っていなかった)

問題56:就労先との交渉
1 まずPSWが会社を見学する
×5 会社にクライアントの面接を依頼する
 藤仁館・ケアサポ・赤マル福祉・広島福祉・ふくし合格・カイゴジョブ・フチガミ

■ 採点

模範解答採点
会社 共通科目 社会専門 精神専門 合計
 藤仁館 83 67 75 225
 中央法規 83 66 78 227
 赤マル福祉 83 67
78 228
 広島福祉 83
67
77 227
 ふくし合格 83
67
78 228
 ガイゴジョブ 83
66
76 225
 フチガミ 83 67
76 226
 大原 83
67
- 150
 ユーキャン 83
66 - 149

太字は満点を示す。精神の専門科目に満点はなかった。

1位 228点(-2点) 赤マル福祉・ふくし合格
3位 227点(-3点) 中央法規・広島福祉
5位 226点(-4点) フチガミ
6位 225点(-5点) 藤仁館・カイゴジョブ

なお、大原とユーキャンは精神保健福祉士の模範解答は扱っていない。

というわけで、今年の優勝は赤マル福祉・ふくし合格だった。

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なぜ支援のために診断(病名)が必要なのか [社会福祉]

社会福祉の中でも、とくに精神保健福祉の領域では、診断を行って病名をつけることに抵抗を感じる人が少なくないようだ。

もちろん現在の日本では病気の診断は医師だけができることで、ソーシャルワーカーが診断をするわけではない。しかし、知識と経験から「おおよそのあたりをつける」ことは必要であるし、しなければならないことだ。そうでなければ、受診を勧めることができず、病気をみすみす悪化させてしまうことになりかねない。特に、統合失調症では初期段階で集中的に薬物治療を行えるかどうかが予後を大きく左右する。

そのように必要とされていることであるにも関わらず、診断が行われることに抵抗を感じるのはなぜだろうか。

一つには、診断主義的アプローチ(医療モデル)に対する批判がある。病気の治療をサポートすることも必要だろうが、ソーシャルワークは原因(この場合は病気)を突き止めて解決するよりも、それによって生じてきた生活上の困難の解決をサポートしていくべきだとする考え方である。そうであれば、診断は必ずしも必要ない。

もっと大きな理由は、精神科領域の病気が持つスティグマ(差別的属性)だろう。メンタルな病気には必ず社会の偏見がつきまとっていると言っても過言ではない。精神分裂病が統合失調症と改められたのも、少しでも偏見を減らすためだった。「医者からは鬱だと言われています」と言う人がは実は統合失調であることも珍しくない。医師が病名を告知しないのは、スティグマが原因で告知が治療的にプラスに働かないと判断しているからである。鬱病に対するスティグマはずいぶん減ったが、それでも鬱病の診断書を会社に提出するのは、身体科の病気の診断書を出すよりもためらわれる。自閉症スペクトラムよりもADHDという診断を好む人が多いのも、自閉症という病名につきまとうイメージの悪さゆえだろう。

診断を行うことはラベルを貼ることであるが、同時にスティグマも貼り付けてしまうことは避けられない。であるならば、医学的な治療を行う場合はともかくとして、他の場面では診断情報なんか要らないではないか、という考えるのも当然だろう。

診断が必要とされる理由は、それによって医学的な治療や病気によって生じる困難の解決サポートが必要になる、というだけの理由ではない。そのような治療や支援が公的な資金によって行われているからだ。社会保障の制度は、強制的に徴収される保険料や税金を原資にしている。である以上、その資金は公平・公正に使われなければならない。誰かのために恣意的に使われればそれは腐敗であり、腐敗がまかり通ればその社会制度は維持できなくなってしまう。

だから、社会保障は公平性を保つことが大切なのだ。「この人は可哀想な事情があるから支援の対象にし、この人は自業自得だから支援の対象にしない」といった判断が支援者の個人レベルで行われたのでは、公平性が保てない。極力公平性が保たれるように制度を設計し、組織的に運用しなければならない。その一つが診断の適用なのだ。

この人は病気が原因で困難に陥っているので支援の対象としている、そして病気であるかどうかは科学的な根拠にもとづいて決められた診断基準によって訓練された医師が行っている、ということが、公平性の説明になっているわけである。

したがって、公的な資金を原資としない支援であれば、診断はかならずしも必要とされない。例えば、独立開業している心理カウンセラーにかかるのに健康保険制度は使えず、全額自己負担になる。だからこそ、カウンセラーは診断はしない。医師ではないから診断できないという事情もあるが、する必要がないからでもある。また、困窮者向けに炊き出しを行う際にも、診断などを要求しない。これも、炊き出しはたいてい善意の寄付を原資にしているからである。

このように、診断を必要とするのは、支援が公的な資金を原資にしているため、公平性を担保しなければその制度が維持できなくなるからである。
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やまゆり園事件と死刑の存廃 [社会福祉]

相模原障害者施設殺傷事件(やまゆり園事件)とは、2016年7月26日に、神奈川県の社会福祉法人が運営する知的障害者施設「津久井やまゆり園」に元職員の男が侵入し、45人を殺傷(うち施設入所者19人が死亡)したという大量殺人事件だ。

その事件の内容については当時大きく報道され、現在でもネット上に多くの情報が見つかるので、事件について詳述するのは避ける。それらの多くは、犯人の動機は何だったのか、知的障害者には生きる価値がないのか、といった観点から事件を論じている。が、今回注目するのはそこではない。

犯人には第一審で死刑判決が下され、弁護人が控訴したが、本人が取り下げたことにより死刑が確定した。その後本人が再審を請求している。

裁判で争点になったのは責任能力の有無だった。検察が行った精神鑑定では、パーソナリティ障害が認められるが責任能力はありとし、弁護側の精神科医は犯行当時は大麻精神病の状態にあり、現在もその症状が持続している可能性があるとした。結果としては、責任能力を認めて死刑判決が下され、控訴取り下げによって第二審で争われることなく決着した。

大麻精神病(Cannabis-induced psychotic disorder、大麻誘発性精神病性障害)とは、大麻の使用によって精神障害が引き起こされたものだ。WHOの定めるICD(国際疾病分類)にも、APA(アメリカ精神医学会)の定めるDSM(精神障害の診断と統計マニュアル)にも記載されている。

ただし、大麻が特に危険な薬物というわけではない。大麻精神病は、ICDやDSMでは、物質使用の障害という大項目のなかにある。この大項目の中には、アルコール・覚醒剤・ヘロインなどの「薬物」に関して起こる精神の病気が集められている。その中には依存症や急性アルコール中毒もある。だから、大麻精神病だけでなく、アルコール精神病や睡眠薬精神病もある。だから、大麻だけが精神障害を誘発する危険な物質というわけではなく、飲酒によって精神障害が引き起こされる場合もあるわけだ。

さらに、この物質誘発性の精神障害は、それほど頻度が高いものではなく、DSMでもICDでも依存症や離脱の説明に費やされているページ数に比べると、割かれているページ数はごく少ない。ついでに、DSMの物質関連障害にはカフェインやタバコも含まれているが、カフェイン誘発性の精神障害や、タバコ誘発性の精神障害は記載されていない。これはつまり、コーヒーを飲んだりタバコを吸ったりする程度で、精神病が引き起こされると言えるだけの根拠がないということだ。

だから、大麻だけが精神病を誘発する危険な物質というわけではないが、だが確かに大麻精神病(大麻誘発性精神病性障害)は存在するのである。

犯人は最初から大量殺人を考えていたわけではなさそうだ。むしろ、障害者施設で働くことを前向きにとらえ、記録を熱心につけ、上司に対して改善の提案も行っている。しかし、やがて施設をやめ、犯行に及ぶ。そして、その後は「意思疎通の取れない人間は安楽死させるべきだ」という主張を繰り返すのである。その変化は、大麻の連用が引き起こしたものなのかもしれない。

もし大麻精神病を認め、心神喪失による無罪判決、あるいは心神耗弱による減刑が行われたとしたらどうだったであろうか。無抵抗の19人もの人間を殺した人間が無罪となったら、遺族はもちろん、一般大衆も納得しないだろう。また、大麻はそのような人格の変容を起こしうる大変危険な薬物だという印象が社会全体に広まることになっただろう。

それを踏まえれば、例え犯人が大麻精神病だったとしても、それを認め、それを理由に無罪にすることは社会的影響が大きすぎる、ということになる。裁判所の判断にはそのような事情が影響した可能性がある。このまま彼は死刑になる可能性が高い。

しかし私は思うのである。そのような社会の側の事情によって、無罪でありうる人が死刑に処される。これは正しいことなのだろうか。功利主義的に考えれば、一人の人間の犠牲はやむなしとなるのだろうが、どうも釈然としないものがある。

私は長いこと死刑廃止を積極的に支持してこなかった(消極的な支持に留まっていた)。それはやはり人々の処罰感情の強さを考えてのことである。しかし、やまゆり園事件の死刑確定によって、私は考えを変え、死刑廃止を積極的に支持するようになった。

1964年のライシャワー事件の後、精神衛生法が改正され、多くの精神障害者が劣悪な環境の精神病院に閉じ込められることになった。社会の安全のためには精神障害者が犠牲になるのはやむを得ないと考えられたわけだ。やまゆり園事件の犯人の主張は到底支持できない。しかし、そんな彼には死刑が相応しいと考えるのは、彼の考えを肯定することになる。彼の考えを否定するためにも、死刑は廃止されるべきだと考えるのである。
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精神保健福祉士試験に合格 [社会福祉]

社会福祉士の試験を受験したのは2年前だった。その合格発表は3月だったが、2月末までに精神保健福祉士の短期養成課程の申込みを済ませねばならなかった。その顛末は

教育訓練給付金制度を使う
https://utsubotsu2.blog.ss-blog.jp/2021-04-10

に書いた。もう二年前のことだ。

[短期養成課程雑感」

4月から短期養成課程が始まった。レポートは最初の3か月が5科目6本。次の3か月に7科目8本。
スクーリングは最初の回が金・土・日、次が土・日・月の合計6日間だった(実習がある人は+2日)。

社会福祉士受験時のスクーリングが結構楽しかったので、今回も期待していたのだが、少々期待外れだった。一つは新型コロナの影響で、会場に来られない講師の人がいて授業がビデオ配信になってしまったことなど、せっかくの面接授業なのにそのメリットがなかったことだ。
もう一つは、グループワークがあっさりしたものだったことだ。これには理由がある。短期養成課程はそのほとんどが社会福祉士の資格をすでに持っている人だ(わずかに短大卒+実務経験の人が混じっている)。この課程の合格率も100%に近い。皆さん「資格を取る」という動機が明確で、演習も1日だけで終わったので、受講者間の交流も少なかった。社会福祉士の一般養成課程にあった「せっかく知り合ったんだから、ここでネットワークを作りましょう」という声かけもなく、休み時間に講師に質問している人もいなかった。

短期養成課程の期間は9か月(4月から年末まで)とされているが、レポートもスクーリングも半年(9月末まで)で終わってしまった。10月に訓練給付金の給付申請に行ったことは

専門実践教育訓練給付制度 給付申請
https://utsubotsu2.blog.ss-blog.jp/2021-10-28

に書いた。

そこで受講料22万円の半額11万円が支給されると思っていたが、そうではなかった。受講料は最初の半年に対して12万5千円、残りの3か月に対して9万5千円と按分されていたのだ。だから、10月の支給申請では最初の半年の受講料12万5千円の半額の6万2,500円が支給され、残りについては翌年の4月に改めて給付申請をしなければならないのだ。実質的には授業も課題もない3カ月に対して、9万5千円の受講料が設定されているというのも不思議なことである。たぶん給付金の仕組みに原因があるのだろう。

ともあれ、国家試験の受験申込みも済ませたので、あとは試験を待つだけとなった。

9月末に提出したレポートが11月に採点され、どの科目も合格点に達していたので、無事卒業できることになった。

[受験もできず、給付金も貰えず]

年明けには修了証書と残りの訓練給付金の申請に必要な書類が送られてきた(はずだ)。だが、このあたりから歯車が狂い始めてしまった。実は前の仕事を辞めてしまい、いまは社会福祉とは別の仕事に就いている。そちらで2月にかなり長い出張が入ってしまったのだ。もちろん、精神保健福祉士の試験受験は諦めざるを得なかった。

本業の出張準備をしているなかで、私の在宅勤務の部屋の中は、様々な書類で溢れかえった。出張前にはその書類をまとめて処分したのだが、どうやらそのなかに修了証書や給付申請に必要な書類も混ざっていたようなのである。

出張から帰ってきたら3月になっていた。受験の結果報告書には「出張で受験できなかった」と書いて学校にFAXした。ソ教連のサイトでチェックしたら、私の受講した短期養成課程の新卒の不合格者は1人だけだった。つまり自分だけだ。合格率が100%にならずに申し訳ない気持ちになった。

4月が終わりに近づいていたころ、気を取り直して、給付金の申請をしようと準備を始めた。・・・が、書類が見つからないのである。学校に電話してみたら、年明けに送っているはずですと言われた。そうだろう、見た憶えがある。しかし、どこにもない。ただ、なんとなく捨てた書類に混ぜた記憶があった。あの時は不要な書類だと思ったのだが、捨ててはいけない書類だったか。学校に再発行をお願いしようかと思ったが、すでにゴールデンウィークが迫っていた。これでは間に合わない。というわけで、4万7,500円は受給し損ねてしまった。

受験できなかったのも、給付金を得られなかったのも、自分の側の事情なので誰も責められない。

[意欲低下]

不合格だった場合でも、学校に頼んでおけば、受験情報などをときどき送ってくれる仕組みになっていた。社会福祉士受験の時は、国試対策講座や自宅で受験する模試を申し込んだのだが、今回はそれも無視してしまった。

妻が受験用のワークブックを買ってくれたが、放置していた。

ただ、受験申込みがネットで済ませられたのは楽で良かった。1回目の申込みは受験申込書などを郵送する必要があってかなり面倒なのだが、それによって受験資格が確定すれば、2年目からはインターネット経由で受験申込みができる。もちろん、これは1年目で落ちた人だけが使うわけだが・・・。18,820円をクレジットカードで払って申込みは完了した。

年が明けると妻が受験用の過去問集を買ってきてくれた。またまた2月に出張が入る可能性があったが、それはなくなり受験できることが確定した。1月末の大寒波で体調を崩し、過去問集を取り出したのは受験の直前だった。

[昨年の受験票で受験]

自宅から受験会場の東京流通センターまでは1時間半ほどだ。開場時間に合わせて着くようにしたのだが、浜松町駅でモノレールに乗るとひどく混んでいた。そのほとんどが流通センター駅で降りたので、みなさん受験者だったわけだ。

流通センターには複数のビルがあるので、敷地の入り口に受験番号別に会場を案内する紙が張り出されていた。ビルの入り口で体温チェックをするために長い列ができていた。その最後尾について進んでいったのだが、どうやら間違えて別のビルの列に並んでしまったようで、自分の番号の部屋がない。係員に聞いて別のビルへと向かい、ようやく自分の席に着いた。説明が始まる30分ほど前だ。開場時間に来ていて良かった、ギリギリだったらさぞ慌てただろうと思った。昼食に持ってきたおにぎりを二つたべ、トイレを済ませて、過去問を再チェックした。

説明が始まり、解答用紙が配られた。ところどころ空席があるのは他の試験と同じだ。受験を諦めた人の席が空いているのである。「解答用紙に自分の名前と受験番号が書いてあることを確認してください。違っていたら手を挙げてください」と言われてチェックすると、そこには知らない人の名前が印刷されているではないか。

手を挙げて待っていると、係員の人が来て、受験票や解答用紙をチェックし、さらに人を呼びにいってしまった。その間に問題用紙も配られ始めた。

3人ほど係員の人が来て、名前を確認され「受験申込みをされたんですね」と尋ねられたので、「しました」と自信を持って答えたところで気がついた。「これは去年の受験票だ!」 前の日に受験票を探したときに、去年の受験票を見つけ、よく確認しないで持ってきてしまったのだ!

「ちょっと待っていてください」と言われ、これは受験票を忘れたのと同じだから受験は無理かな、と半ば諦めた気持ちで待っていると、先ほどの人が戻ってきて「確認が取れました。受験票を再発行するので荷物を全部持って事務室に行ってください。遠いので急いでください」と言われた。

受験できるんだと安心したと同時に、急いでくれと言われて慌てた。机の上に置いてあった消しゴムや鉛筆などをわしづかみにし、コートを着る余裕もなく鞄と一緒に脇に挟んで部屋を出た。係員の後について、10分ほど歩いて別のビルに入った。そこで、運転免許証で本人確認をし、名前や受験番号が手書きされている受験票を受け取り、受験会場に走って戻った。正しい席に着いたのは、試験開始の3分ほど前だった。

そうか、受験票の再発行が現地でできるのか。もし、自分が最初に座った席に、その席で本来受験する人が座っていたらどうだっただろう? その時点で私は去年の受験票を持ってきたことに気づき、諦めて帰っていたかもしれない。ちょうどその席の人が受験を諦めていたからこそ、自分は再発行にたどり着けたと言える。

後で知ったのだが、自分とよく似たことをした人が過去にいたようだ。

第24回社会福祉士国家試験における合格者受験番号の訂正について
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000027qug.html

この方も、前の年の受験票で受験し、しかもそれに気づかずに試験が終了して不合格になったものを、後で追加合格になったようだ。いまは解答用紙に受験番号や氏名が印刷されてしまっているので、同じことは起こりえない(自分と同じように試験開始前の自己チェックで気がつくはずだ)。

[自己採点]

会場の出口で藤仁館学園がチラシを配っていた。ここはいつも解答例の発表が早い。当日の夜には自己採点が始めることができた。翌日以降、次々といろいろなところから発表がなされていった。解答のばらけについてはこちらのエントリを見ていただきたい。

第25回精神保健福祉士試験 専門科目の割れ問
https://utsubotsu2.blog.ss-blog.jp/2023-02-10

十分な点数が取れていたので、ほっとした。

[費用]

かかった費用を列挙しておく。

 ①入学選考料 10,000
 ②短期養成課程学費 220,000
  (内訳は入学金30,000、授業料140,000、面接授業参加費50,000)
 ③教科書9冊 23,100
 ④受験手数料 18,820
 ⑤過去問問題集1冊 4,400 + ワークブック 3,520
この他に、合格後の登録手続きに、
 ⑥登録免許税 15,000
 ⑦登録手数料 4,050
合計 298,890

③は妻のお古を使わせてもらい、足りなかった1冊を新刊で2,970円で購入した。従ってマイナス20,130
 実質合計 278,760

さらに訓練給付金がミスなく満額受給できていれば、②の半額の11万円を減じて
 168,760
で済んだはずだ。しかし、受給ミスがあったので47,500円を受給できず
 216,620
かかってしまった。

もちろん、この他にも交通費(ハローワーク・面接授業・受験)、入学申込みや受験申込みに使う写真代、住民票の写しの取得費用、各種費用の振り込み手数料(入学選考料、学費、登録手数料)も必要だった。面接授業会場や受験会場から遠くに住んでいる人は、そのための旅費もかかるであろうが、地理的に近くに住んでいて助かった。

これから短期養成課程で精神保健福祉士の資格を取ろうという人の目安にしていただければ幸いである。

[最後に]

一つ確実に言えることがあるとすれば、受験票を忘れても、違う受験票を持って行ったとしても、諦めて帰ってはいけない、ということである。
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第35回 社会福祉士試験 合格率44.2%の衝撃 [社会福祉]

精神保健福祉士の試験は合格することができた。その経過についてはまた別のエントリを設ける予定。

■ 社会福祉士試験 合格率44.2%の衝撃

さて、今年(2023年)2月の社会福祉士試験の合格基準は90点だった。

合格基準は「問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数」と決められている。現カリキュラムが採用された2010年(第22回)以降、ぴったり90点ということはなかったが、例年90点前後であった。――例外は2013年(第25回)の72点と208年(第30回)の99点だ。

それが昨年第34回では、105点というそれまでにない高水準だった。この数字は、100点取れば合格と信じていた人たちや、90点+αでもまだ合格の可能性があると信じていた人たちを、絶望の淵にたたき落とした。いったい何点取ればいいのかと。

しかし、年度間の公平性を保つために合格率を30%程度に維持するという点で、昨年の105点は妥当だという記事を昨年書いた。
(その記事内の表とグラフが間違っていたので訂正しておいた)。

■ 今年も高い合格水準が予想された

赤マル福祉のWeb自動採点は、多くの人が利用する自己採点ツールだ。

自己採点を使った人の平均点は、2月7日の時点で107.8点、3月15日時点で106.1点だった。
この平均点は、実際に受験した人の平均点を大きく上回るのが普通だ。なぜなら、試験の出来が悪かった人は採点するまでもないと考えるからだ。

毎年、赤マル福祉の自己採点の平均点と合格基準の点数の差は±3点の範囲に収まってきた。昨年も、赤マル福祉の平均点が106.1点で、合格基準が105点だった。

そのため、今年も合格基準は105点前後、少なくとも100点を超えるという予想が多かった。しかし、蓋を開けてみたら、なんと90点だったのである。結果として合格率は44.2%と例年の3割の1.5倍にもなった。

社会福祉士試験の合格基準と合格率

■ なぜに90点

前の記事にも書いたが、昨年の105点という合格基準を受けて、日本社会福祉士会、日本ソーシャルワーク教育学校連盟(ソ教連)から「もし上位30%ラインでの基準調整がされているなら、それを廃して6割程度以上を得点した者はすべて合格とすべし」という声明が出された。

(私は知らなかったが、99点だった第30回の後にもソ教連の会長談話が発表され、「60%の得点(90点)を著しく上回ることのないようにすべき」と言っている。)

今回の90点というのは、まさにその声明に沿った基準だと言える。専門科目のみの合格基準も、精神保健福祉士試験の合格基準もきっちり6割となっていた。

社会福祉振興・試験センターが声明の意図を汲んで、合格基準を6割にした背景はなんだろうか?

受験者数と合格者数

社会福祉士試験の受験者数は、2017年(第29回)の45,849人をピークに毎年減り続けてきた。その理由は明らかで、福祉系大学の新卒受験者が2010年(第22回)には14,199人いたのが、2020年頃には8,000人あまりにまで減ってしまったからである(短大卒+実務経験ルートでの受験者も減っている)。

福祉系大学卒の受験者は、新卒時の合格率は5割程度とまずまずなのだが、2回目以降の受験者(既卒受験者)の合格率は十数%と低いのである。四年制大学の福祉学部をを卒業したのに、結局社会福祉士資格を取らずも結構いるのだろう。

学部は出たものの資格が取れない、という人が多ければ学部の人気に影響が出る。学生の数が減るのは大学にとっては死活問題だ。そして、試験の受験者数が減るということは、合格者も減り、社会に供給される社会福祉士の数も減ってしまう。

合格率をアップさせることは、当座の社会福祉士の供給数を増やし、大学の学生増にも寄与するだろう。

社会福祉士試験の合格率が3割と低めに設定されてきたのが、高度な教育を受けた専門職という社会的評価を確立するためだったとするならば、学生数の減少という現実によって、その高い理想を取り下げた、と言えるのかもしれない。

■ 44.2%の衝撃

むしろ90点という合格基準にもかかわらず、合格率が44.2%にしか達しなかった、ということのほうが驚きである。赤マル福祉の平均点が106点ならば、合格基準を90点としたら、合格率は5割を優に超えるだろうと思ったものだ(7割ということもあるかもしれないとも)。しかし、44.2%だったのである。

これは、今回の試験の平均点が90点以下だということを意味する。

社会福祉士試験の得点分布は公表されていないが、赤マル福祉の自己採点ではその平均点前後に密集している。だが、受験者全体では、ずっと低い点数を取っている受験者がかなり多くいて、平均点を押し下げているということになる。(赤マル福祉の自己採点の得点分布には、実は30点あたりに小さなピークがある)。

合格基準を下げても、合格率が1.5倍にしかならなかった、50%を越えなかったということの方が衝撃だったのである。

調べてみると、2回目以降の受験者(既卒受験者)の合格率が低いのは学部卒だけではなかった。社会人向けには短期養成(9か月)と一般養成(18か月)の課程があるが、どちらも2回目以降の受験者の合格率はここ数年十数%だった。それが今年は、学部卒・短期養成・一般養成ともに約3割まで増えた。しかし、3割にまでしか増えなかったとも言える。

得点分布が正規分布になっているはずだ、という思い込みがあったのだが、実はロングテール形状をしているようなのだ。
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子ども家庭福祉ソーシャルワーカー資格の制度化 [社会福祉]

子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称)資格の制度化が進められている。昨年(2022年)に厚生労働省の子ども家庭局の下で検討会が開かれた。

子ども家庭福祉の認定資格の取得に係る研修等に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo_554389_00026.html

検討会の開催は一回だけで、実質的な討議はその子会議であるワーキングループで行なわれた。

子ども家庭福祉の認定資格の取得に係る研修等に関する検討会ワーキンググループ
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo_554389_00028.html

2023年2月8日の会議で、検討会のとりまとめ案が提出されたので、実質的な審議はこれで終了し、今後は省内での作業が進められ、今年中には認定機関や研修機関の選定が行なわれるだろう。そして来年(2024年)4月以降に、研修の募集が告知され、年末か年度末までに認定試験が実施されることになると思われる。

ここでは、検討会やワーキンググループの資料から、この資格取得の条件などを見ていこう。

■ 資格取得ルート

route-cfsw.jpg

取得ルートは大まかに分けて二つある。有資格者ルートと現任者ルートである。

相談援助有資格者ルートは、社会福祉士や精神保健福祉士が「こども又はその家庭に対する相談援助」(子ども家庭福祉の相談援助)業務を2年以上行ない、さらに指定研修を受けて、試験を受験する。次の現任者ルートは経過措置として設けられるものなので、その期間が経過後は、有資格者ルートのみになる。

現任者ルートは二つあり、一つは相談援助実務経験者ルートだ。これは特に資格は持っていなくても、子ども家庭福祉の相談援助の実務経験が4年以上ある人が、ソーシャルワークに関する研修と指定研修を受けて試験を受験するもの。

もう一つは保育所保育士ルートで、実務経験が4年以上ある保育士が、ソーシャルワークに関する研修と指定研修を受けて試験を受験するもの。

この二つの現任者ルートは前述の通り「当分の間の経過措置」なので、その期間が終了すればこのルートでの資格取得はできなくなる。「当分の間」の長さについては資料の中に記述がないが、他の資格の現任者向け経過措置がたいてい5年間なので、5年間である可能性が高いだろう。

■ 実務経験として認められる施設

有資格者ルート相談援助実務経験者ルートでは、「こども家庭福祉の相談援助業務を含む相談援助」の実務経験が必要になる。必要な年数はそれぞれ2年と4年だ。

実務経験として認められる施設は、児童福祉司任用資格の実務経験として認められる施設と基本的に同じ範囲が挙げられている(下記 とりまとめ資料編表2参照)。

この表2では施設を二種類に分類していて、児童相談所や児童養護施設など子ども家庭福祉の相談を行う施設ではその施設に勤務した証明があるだけで良い。その他の施設では勤務の証明だけでなく子ども又はその家庭に関する支援に従事していたことの証明も必要になる。

■ 実務経験として認められる範囲

有資格者ルートの場合には、業務量については問わないことになっている。つまり業務の中にこども家庭福祉の相談援助業務が含まれていれば、その比率は問わないということだ(ゼロでなければ良い?)。それが一定程度に満たない人たちは、追加研修を受ける必要がある。

相談援助実務経験者ルートの場合には、「その比率は問わない」の文がないので、必ず一定程度の相談援助業務の経験が必要になる。

この一定程度はどれぐらいなのか? 資料中に「5割」という例が示されていることや、児童福祉司任用資格の通達に「年間を通じた勤務時間の概ね5割以上従事した」という表現があることから、5割が目安になるだろう。

保育所保育士ルートの場合には、「要支援児童等対応推進事業」における地域連携推進員(かつて保育ソーシャルワーカーと呼ばれていたもの)の経験が4年以上あるか、保育所長・主任保育士または副主任保育士等としてこども家庭福祉の相談援助業務を含む業務に4年以上従事した必要がある。

■ 研修

すべてのルートで共通して、子ども家庭福祉指定研修(指定研修)を受ける必要がある。時間は100時間程度だ。

有資格者ルートで、こども家庭福祉の相談援助業務の比率が一定程度(5割?)に満たない人は、追加の研修を受ける必要がある。追加研修の内容については「要保護児童対策調整機関の調整担当者の法定研修」を参照とあるので、30時間弱になりそうだ。

相談援助実務経験者ルート保育所保育士ルートの場合には、ソーシャルワークに関する研修(SW研修)を受ける必要がある。時間は100時間程度になる。

従って、総研修時間はコースにより、人により違い、指定研修100時間のみ、指定研修100時間+追加研修30時間、SW研修100時間+指定研修100時間、の3パターン生じるはずだ。

研修の実施方法だが、
  • 講義については、対面での授業実施も可能としつつ、インターネット等を活用したライブ配信等・オンデマンド形式等による講義を可能とする
  • 演習については、原則対面での実施としつつも、内容によってはインターネット等を活用したライブ配信等 を可能とする
  • 見学実習については、原則として対面で実施する
となっている。

見学実習については全時間出席とレポート提出が必須とされているが、講義と演習については出席率や欠席時のレポート提出などの定めを国や認定機関は設けないとされている(研修の実施機関で定めることはあるかもしれない)。

■ 資格の名称

こども家庭ソーシャルワーカーで決まりのようだ。
英語表記は CFSW (Children and Family Social Worker) となる。

■ 今後

前述のワーキンググル-プはとりまとめに入ったので、今後は厚生労働省での作業に移ることになる。4月以降には省令などが整備され、認定機関が指定され、研修の受講者の募集が始まるだろう。

そして、おそらく来年(2024年)4月以降に研修が始まり、年度末までには試験と結果発表が行なわれ、2024年度中には新資格保有者が誕生することになる。

■ とりまとめ資料編表2

「相談援助の実務経験の範囲として認められる施設(例)」

こども又はその家庭に対する支援を行っている旨の証明をせずとも、実務経験として認められるもの
(児童福祉法)
 ・児童相談所
 ・母子生活支援施設
 ・児童養護施設
 ・障害児入所施設
 ・児童発達支援センター
 ・児童心理治療施設(旧情緒障害児短期治療施設)
 ・児童自立支援施設
 ・障害児通所支援事業を行う施設
 ・障害児相談支援事業を行う施設
 ・乳児院
 ・児童自立生活援助事業を行っている施設(児童居宅生活援助事業)
 ・子育て短期支援事業を行っている施設
 ・児童家庭支援センター
 ・こども家庭総合支援拠点
(学校教育法)
 ・教育機関
(母子健康法)
 ・子育て世代包括支援センター
(その他)
 ・その他都道府県又は市町村の児童家庭相談業務を行う部署

こども又はその家庭に対する支援を行っている旨の証明をした場合に、実務経験として認められるもの
(地域保険法)
 ・保健所
(医療法)
 ・病院及び診療所
(身体障害者福祉法)
 ・身体障害者更生相談所
(精神保健福祉法)
 ・精神保健福祉センター
(生活保護法)
 ・救護施設
 ・更生施設
 ・授産施設
 ・宿所提供施設
(社会福祉法)
 ・福祉に関する事務所
(売春防止法)
 ・婦人相談所
 ・婦人保護施設
(知的障害者福祉法)
 ・知的障害者更生相談所
(老人福祉法)
 ・養護老人ホーム
 ・特別養護老人ホーム
 ・軽費老人ホーム
 ・老人福祉センター
 ・老人短期入所施設
 ・老人デイサービスセンター
 ・老人介護支援センター
 ・老人ホーム
(母子及び父子並びに寡婦福祉法)
 ・母子・父子福祉センター
(介護保険法)
 ・介護保険施設
 ・指定介護療養型医療施設
 ・地域包括支援センター
(障害者総合支援法)
 ・障害者支援施設
 ・地域活動支援センタ-
 ・福祉ホーム
 ・障害福祉サービス事業
 ・一般相談支援事業を行う施設
 ・特定相談支援事業を行う施設
(刑事収容施設法)
 ・刑事施設
(少年院法)
 ・少年院
(少年鑑別所法)
 ・少年鑑別所
(更生保護事業法)
 ・更生保護施設
(更生保護法)
 ・保護観察所
(その他の法律)
 ・「精神障害者地域移行支援特別対策事業」を行っていた施設
 ・地域若者サポートステーション(青少年雇用促進法)
 ・こども・若者総合相談センター(子ども・若者育成支援推進法)

(法律名を書き足しておいた)
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第25回精神保健福祉士試験 専門科目の割れ問 [社会福祉]

ほぼ自分用のメモ:

2023年3月7日 正答の発表があったので、正答を書き加えた。

第25回精神保健福祉士試験の解答例を発表しているのは、
藤仁館医療福祉カレッジ
けあサポ(中央法規)
赤マル福祉(ジェーシー教育研究所)
広島福祉専門学校
ふくし合格ネット
カイゴジョブ(エス・エム・エス)
フチガミ医療専門学校

概ね発表の早い順に並べた。藤仁館は試験実施日の夜には解答例を発表してくれる。
問題文はけあサポのページにスキャンしたPDFが掲載されている

以下は割れ問:

問題2 神経性大食症の過食に対する不適切な代償行為
× 1 虚言
 - フチガミ
3 緩下剤乱用
 - 藤仁館・けあサポ・赤マル福祉・広島福祉・ふくし合格・カイゴジョブ

問題28 権利擁護における発見機能
× 4 市民を対象とした精神保健福祉講座の運営を通して,精神障害に対する理解を求める。
 - 藤仁館・赤マル福祉
5 長期入院にあるクライエントに対し,地域生活のイメージを描けるような働きかけを行う。
 - けあサポ・広島福祉・ふくし合格・カイゴジョブ・フチガミ

問題30 声かけの根拠となるソーシャルワークの価値
× 2 人間の社会性
 - 藤仁館・フチガミ
4 変化の可能性
 - けあサポ・赤マル福祉・広島福祉・ふくし合格・カイゴジョブ

問題52 覚醒剤依存者への声かけ
2 「覚醒剤を使うことをどのように思っていますか」
 - フチガミ
× 3 「最初に,治療プログラムについて説明します」
 - 藤仁館・けあサポ・赤マル福祉・広島福祉・ふくし合格・カイゴジョブ

問題56 活用を意図したコミュニティソーシャルワークの機能
× 3 新しい社会資源の創造
 - けあサポ・広島福祉・カイゴジョブ
4 個と地域の一体的支援の展開
 - 藤仁館・赤マル福祉・ふくし合格・フチガミ

藤仁館 ○×××○ 2/5
けあサポ(中央法規) ○○○×× 3/5
赤マル福祉 ○×○×○ 3/5
広島福祉専 ○○○×× 3/5
ふくし合格ネット ○○○×○ 4/5
カイゴジョブ ○○○×× 3/5
フチガミ ×○×○○ 3/5

というわけで、ふくし合格ネットの優勝です。
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来年の社会福祉士・精神保健福祉士試験 [社会福祉]

来年2月の社会福祉士・精神保健福祉士試験の受験申込み手続きが発表になった。
自分も受験しなければならないので、備忘のために書いておく。

社会福祉士国家試験 受験申し込み手続き
https://www.sssc.or.jp/shakai/tetsuzuki.html
精神保健福祉士国家試験 受験申し込み手続き
https://www.sssc.or.jp/seishin/tetsuzuki.html

試験日
 社会福祉士 令和5年2月5日(日曜日)
 精神保健福祉士 令和5年2月4日(土曜日)、5日(日曜日)

受験申込書の受付期間
 令和4年9月8日(木曜日)から10月7日(金曜日)まで(消印有効)
 インターネットによる受験申し込みも同じ期間

『受験の手引』の請求期間
 8月上旬から遅くとも受付期間締め切り8日前の9月29日(木曜日)まで

今年から、一度受験申込みをして受験資格の確認が済んでいる人はインターネットでの受験申込みができるようになった(自分もそれに該当する)。一発合格の人はその恩恵にはあずかれないわけだが。

ちなみに 子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称) の資格を定める児童福祉司法の改正案は、5月17日に衆議院で修正の上で可決6月8日に参議医院で可決され(どちらも全会一致)、6月15日に公布された。
これで、2024年度には新資格の運用が始まることがほぼ確定したわけだ。その内容が社会保障審議会の児童部会で審議されるようなら、また取り上げたい。
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子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称)資格創設へ [社会福祉]

子ども家庭分野のソーシャルワーカー資格として「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称)」の資格が創設されることになった。

■ 現状は二階建て構造
sw1.png
現在、ソーシャルワーカーの国家資格としては、1987年に社会福祉士介護福祉士、1997年に精神保健福祉士の資格ができた。三つあるので、三福祉士と呼ばれる。

このうち、社会福祉士と精神保健福祉士は、共通している科目が多い(それぞれ18・17科目群中11科目が共通である)。片方の資格を持っている人が、もう一方の資格を取得する場合には、共通科目は試験科目が免除されるので、残りの「専門科目」のみ履修して受験すれば良い。

共通科目の上にそれぞれの専門科目が載る二階建ての構造になっているわけだ。将来的にこの二つの資格が一つにまとまる可能性はゼロではなさそうだが、実現性はまだまだ不透明だ。一つの資格に統合された場合に、この二階建て構造がどう変わるのか、その具体像はまだ描き出されていない。

この二階建て構造が、新たに子ども家庭分野の資格を作るにあたって、話をややこしくしたのである。

■ 子ども家庭福祉士の案ふたつ
sw2.png
一つは、社会福祉士・精神保健福祉士と並列して子ども家庭分野の福祉士資格を作る案が出された。二階建ての構造はそのままにして、共通科目+子ども家庭分野の専門科目の組み合わせということになる。
sw3.png
別の案は、上乗せして三階建てにするものだ。つまり社会福祉士・精神保健福祉士が、さらに子ども家庭分野について学んで取得する資格にするのである。これについては(資格ではないが)既に実績がある。スクールソーシャルワーカーのために、社会福祉士・精神保健福祉士が受講できるスクールソーシャルワーク教育課程が設けられている。また、同じく社会福祉士・精神保健福祉士が成年後見人になるための研修制度がある。どちらも試験がある資格制度ではないが、そのような養成制度が稼働している実績があるわけだ。

■ 社会保障審議会での議論

検討の舞台となってきたのは、厚生労働省の社会保障審議会(児童部会社会的養育専門委員会)だ。

2020年から21年にかけて、その子会議である「子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格の在り方その他資質の向上策に関するワーキンググループ」で議論が行なわれてきた。

ところが、年度末が近づいた2021年1月の最終会議でも二つの案のどちらにするか決着が付かず、両論を併記して「引き続き検討していく」ということになった。(2021年2月2日会議の資料「とりまとめ」

というわけで、次の年度(2021年度)では親会議(社会的養育専門委員会)のほうで検討が行なわれることになった。業界団体へのヒアリングを経た上で、最終的には「上乗せ案(三階建て)」が選ばれた。そして、国家資格ではなく民間資格となった。

■ 情報のまとめ
  • 名称は子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称)
  • 子ども家庭福祉指定研修(100時間程度)を受講の上で、試験に合格することで資格が得られる。
  • 社会福祉士精神保健福祉士として2年以上の実務経験が必要。
  • 現任者への経過措置(当分の間):
    ①子ども家庭福祉分野で4年以上の実務経験を持つ者。
    ②保育士で4年以上の実務経験を持つ者(対象となる範囲は今後検討)。
    どちらもソーシャルワークを学ぶ研修の受講が必要。
  • 研修の認定や試験の実施は国の基準を満たした認定機構が実施する。
  • 福祉系大学などで学ぶ学生が新資格を取得できるルートは設けない
  • この新たな認定資格は、児童福祉司の任用要件を満たすものとして児童福祉法上位置づけられる。
sw4.png2022年2月3日会議資料の資料2の図を加工した)

■ ニュース報道

新資格「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」 民間資格で決着 - 福祉新聞
https://www.fukushishimbun.co.jp/topics/27165

【厚生労働省】児童虐待対応の新資格 「ぎりぎりの妥協点」で決着 - 財界ONLINE
https://www.zaikai.jp/articles/detail/1408

新資格「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」創設へ - テレビ朝日
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000244939.html

自民党の一部議員の意見を反映して「施行後2年をめどに国家資格化を検討する」という付則が付けられることになった。
また「厚労省は再来年4月の施行を目指し今国会に提出する児童福祉法の改正案に盛り込む予定」とある。

■ その後の政府と国会の動き

首相官邸のサイトによると、3月4日の定例閣議で児童福祉法等の一部を改正する法律案を決定したとある。

現在は第208回の通常国会が開かれている真っ最中だ。

衆議院の議案一覧で、第208回に提出された閣法の中を探すと、「児童福祉法等の一部を改正する法律案」が提出されている。3月4日に衆議院に提出され、4月中旬現在「衆議院で審議中」となっている。それによると、

児童福祉法の第十三条第三項は、児童福祉司の任用資格を規定するが、その先頭に、
「児童虐待を受けた児童の保護その他児童の福祉に関する専門的な対応を要する事項について、児童及びその保護者に対する相談及び必要な指導等を通じて的確な支援を実施できる十分な知識及び技術を有する者として内閣府令で定めるもの」
という規定が加えるとある。
この内閣府令が「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」に相当するのだろう。

そして、付則の第二条に「国家資格を含め、この法律の施行後二年を目途として検討を加える」とある。

■ 終わりに

政治の現場をまざまざと見せつけられる展開であった。大学などに子ども家庭福祉士の養成コースを設けて国家資格化することを望んでいる人も少なくなかったのだろう。しかし、前回述べたようにソーシャルワーカーを目指す学生が減りつつある中で、社会福祉士と精神保健福祉士の養成コースと学生を奪い合うような結果になれば、結局その養成コースは成り立たないと判断されたのだろう。

閣法は9割が成立するし、特に野党が反対しているとも聞かないので、会期末までに成立し、早ければ2024年度には新資格の運用が始まるだろう。

■追記 (2023-2-22追記)

子ども家庭福祉ソーシャルワーカー資格の制度化 のエントリを追加した
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社会福祉士試験 合格基準105点の衝撃 [社会福祉]

このブログは、もともと依存症の回復支援と社会福祉を扱うつもりで始めたのだが、福祉や心理の資格の話題ばかりになってしまった。私自身は仕事の都合で今回の精神保健福祉士の試験を受けることができず、受験手数料18,820円が無駄になってしまった。

■ 社会福祉士試験 合格基準105点の衝撃

さて、今年(2022年)2月の社会福祉士試験の合格基準は105点だった。

合格基準は「問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数」と決められている

満点は150点だから、その60%は90点だ。だが、現行のカリキュラムになった2011年以降、合格基準が90点だったことは一度もない。問題の難易度による補正が毎年行なわれてきたのである。

社会福祉士試験の合格基準の推移
合格基準 合格率 受験者数 合格者数
2010 第22回 84 27.5% 43,631 11,989
2011 第23回 81 28.1% 43,568 12,255
2012 第24回 81 26.3% 42,882 11,282
2013 第25回 72 18.8% 42,841 8,058
2014 第26回 84 27.5% 45,578 12,540
2015 第27回 88 27.0% 45,187 12,181
2016 第28回 88 26.2% 44,764 11,735
2017 第29回 86 25.8% 45,849 11,828
2018 第30回 99 30.2% 43,937 13,288
2019 第31回 89 29.9% 41,369 12,456
2020 第32回 88 29.3% 39,629 11,612
2021 第33回 93 29.3% 35,287 10,333
2022 第34回 105 31.1% 34,563 10,742


■ 試験の難易度の調整はどう行なわれているか

公認心理師試験の難易度の回で、公認心理師試験の問題について検討した。その結果、試験問題は概ね

 1) ほぼ全員が正解できる易しい問題
 2) ほぼ全員が分からない難問(正答率はサイコロを振ったのと大差ない)
 3) 正答率が6割ぐらいの良問

の3種類に分類できた。試験の難易度は1)と2)の比率を変えれば調整できるが、この二種類の問題だけでは試験を課す意味がなくなってしまう。学んだ人が正答し、そうでない人は間違えるように3)の問題を中心に構成すればよいが、このような良問を作ることは難しい。しかも「過去問暗記すれば受かる」という試験にしないためには、良問を毎年作り続けねばならない。結局この三種類の問題を混ぜて出題せざるを得ないのだろう。

社会福祉士試験の問題に同様のデータを公表しているところは見当たらないが、事情は同じだと推察できる。

試験を貸す側は難易度を適度に調整しようと試みているが、調整しきれずに変動してしまうのは(ある程度は)やむを得ないことなのである。

■ 年度間の難易度の公平性

難易度が変動する場合、合格基準を90点に固定してしまうと、ある年は試験が易しくて多くの人が合格し、別の年には難しくて多くの人が落ちる、という現象が起きてしまう。それでは不公平だという批判が起こるだろう。

何らかの手段で公平性を担保する必要がある。その手段の一つが「合格基準を難易度で補正する」ことだ。では、難易度はどうやって計測したら良いのだろうか?

社会福祉士試験には毎年3万人から4万人が受験してきた。合格した人はもう受験しないし、不合格だった人のなかにも翌年の受験を諦める人もいる。一方で、新たに受験する人たちが現れる。つまり受験者は部分的に毎年入れ替わっていく。それでも、受験者全体の学力は、大きく変動しないはずだ。もちろん、10年というスパンで見れば変動は起こりうる(例えば福祉系大学を受験する人たちの層が変わるなどで)。しかし、去年と今年でがらりと変わるということは考えにくいのである。

であるならば、合格率を一定に保つことで年度間の難易度の差を吸収し、試験の公平性を保つことができる。これが、難易度補正の理屈であろう。

社会福祉士試験の合格基準と合格率
■ 合格率の変遷

グラフを見ると、合格率は2018年(第29回)までは26~28%で推移してきた(2014年を除く)。2019年以降は30%前後である。2018年→2019年のときの不連続性を除けば、「合格率を一定に保つことで調整を行なってきた」ことがうかがえる。

毎年合格率が大きく変動するのはいただけないが、合格率を微調整することも必要だろう。社会福祉士試験は、世の中に社会福祉士を供給する役割を負っている。リタイアなどで社会福祉士としての仕事を辞めてしまう人たちもいるのだから、社会福祉士の総数を一定以上に保つには、供給量をコントロールする必要がある。

社会福祉士試験の受験者数は2018年(第29回)の45,849人をピークに減り続けてきた。2022年(第34回)は34,563人で、これはピークから25%の減少だ。合格率を変更しなければ、合格者数もそれに合わせて減ってしまう。合格率を30%に上げたのは、需給のバランスを保つためなのだろう。

2014年(第25回)は、合格基準が72点と極端に低かった。だが、合格率も18.8%と低かったのである。もしこの時に合格率は従前どおりに26~28%に保とうとしたら、合格基準はさらに下がって60点台になってしまっただろう。そのような大きな変動は好まれないだろう。そのため、合格率を下げてでも、合格基準を72点と比較的高く保ったのだと推察できる。だとすれば、この年に受験した人たちは不運だったと言える。合格率を下げたおかげで、例年通りの試験だったら受かっていた人たちが落ちたはずだからである。つまり、年度間の公平性が保たれなかったのだ。

2019年(第30回)は、合格基準が99点と、それまでで最も高くなった。また合格率も30.2%へと上昇した。この数字を見て、私は「2014年と逆で、合格率を26~28%に保とうとすると合格基準が100点を超えてしまうので、合格率を上げてでも基準を100点未満に抑えたのではないか」と考えた。同じことを考えた人もいたようで、この年の合格者は質が悪いなどと陰口をたたかれたという話も聞いた。だが、翌年以降も合格率が元に戻ることはなく30%前後を保ち続けたのである。

というわけで、外れ値であることが明確なのは2014年の72点のみだが、合格基準の極端な変動を抑えようと合格率を変更すると、試験の公平性が失われてしまう、という難点があることが分かる。

■ 合格基準の変動に振り回される人たち

2018年(第29回)までは、合格基準はすべて90点未満だった。だから「90点取ればギリギリ大丈夫。95点あれば余裕だろう」と言われていたそうだ。ところが、2019年にはこの前提は崩れてしまった。100点取らないと安心できないと言われるようになった。

それでも、99点(や72点)という外れ値は、頻繁にあるものではないという予想もあった。実際、翌年以降は89点・88点・93点とほぼ90点前後に調整され、「95点あれば大丈夫だろう」と考えた人も多かったはずだ。

このような「○点あれば大丈夫」というのは、目安としては役に立つが、合格発表を見たら基準が100点以上でがっくりした、ということにならないためには、あまりそういうことを言わない方が良いし、また聞いても信じない方が良いであろう。

■ 2022年(第34回)の105点は妥当か?

第34回の合格基準は105点。合格率は31.1%だった。もし合格率を30%にとどめようとしたら、合格基準は106点か107点、ひょっとすると108点になっていたのかもしれない。合格基準の極端な変動を抑えようと合格率を約1%上げたのだとすれば(もちろん憶測でしかないが)、例年通りの試験だったら落ちていた人が受かったという可能性はある。

それでも合格率31.1%が妥当な範囲内だとするなら、合格基準105点も妥当だと言える。

ただ、基準となる60%からは15点も離れてしまっている。これは2014年の18点に次ぐ、二番目の値である。それでも、この値を採用したのは、合格基準が60%から離れようとも、合格率の変動を抑えたからだろう。そのほうが、公平性が保てるからだ。

■ 社会福祉士会とソ教連のコメント

今回の合格基準について、日本社会福祉士会、日本ソーシャルワーク教育学校連盟(ソ教連)から声明が出されている。

「社会福祉士国家試験の在り方に関する意見」を提出しました - 日本社会福祉士会
https://www.jacsw.or.jp/information/2022-0324-1147-18.html

第34回社会福祉士国家試験の合格基準について(会長談話) - 日本ソーシャルワーク教育学校連盟
http://www.jaswe.jp/seimei/20220322_danwa_34th_shakaikokushi.pdf

社会福祉士会のほうは、大幅な補正は受験者が混乱するから困るよというクレームになっている。それはそうだろう。極端な補正はないのが望ましい。

ソ教連のほうは、もし上位30%ラインでの基準調整がされているなら、それを廃して6割程度以上を得点した者はすべて合格とすべしという意見を述べている。たしかに、国家試験のなかには、合格基準が固定されていて難易度調整が行なわれないものもある。

看護師の試験は、250点満点で、合格基準は140点ぐらいから170点ぐらいを変動している。合格率は全体だと90%程度(新卒に限れば約95%)であり、合格率を一定に保つ調整が行なわれている(合格率は看護師の需給にあわせて毎年若干調整されるというが)。合格率の高さから、看護師試験は優秀者を選抜するのではなく、最低限の知識を備えた人をひろく合格させる仕組みになっている、と言える。(ちなみに、医師の国家試験の合格率は全体で9割程度、新卒だと95%程度で、合格基準は科目にもよるが7~8割だ)。

ソ教連のコメントは、合格基準の変動にクレームをつけているようでいて、実は「3割しか合格させない」という合格率の低さへのクレームになっている。

背景にあるのは、福祉系大学への進学者の減少だろう。2010年(第22回)の社会福祉士試験に大学新卒で受験した人は14,199人だった。それが、ここ数年は8,000人を少し越える程度にまで減少しているのだ。4年制の大学を卒業しても、国家試験に3割(新卒だと5割)しか合格できないのでは、高校生が進路として選ぶのはためらわれるだろう。

それでも、看護師や医師はその資格を持った者しか従事できないという「業務独占」であるのに対し、ソーシャルワーカーは資格がなくても従事できるという違いは無視できない。

結局これは、合格率の低さという単純な問題ではなく、業務独占ではない社会福祉士資格をどう運用するかという政策上の問題であることがわかる。つまり、日本にソーシャルワーカーをどれだけ存在させ、その何割に国家資格を持たせるか、という問題だ。

ソ教連の主張は、合格者数をもっと増やすべきだということになるが、はたしてどうなるのだろうか。

また、公認心理師の資格については、社会福祉士資格と似たところがある。これまで区分D2で受験した人たちの合格率は65%程度だ。大学院までいったのに、3分の2しか合格できないという厳しさである。業務独占ではないのも同じだ。心理系の大学・院が今後どれだけ学生を集められるのか、ちょっと心配になるぐらいである。(ちなみに、臨床心理士試験の合格率も6割ぐらいである)。

2023.3.14 表およびグラフの間違いを修正した。
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