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子ども家庭福祉ソーシャルワーカー資格の制度化 [社会福祉]

子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称)資格の制度化が進められている。昨年(2022年)に厚生労働省の子ども家庭局の下で検討会が開かれた。

子ども家庭福祉の認定資格の取得に係る研修等に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo_554389_00026.html

検討会の開催は一回だけで、実質的な討議はその子会議であるワーキングループで行なわれた。

子ども家庭福祉の認定資格の取得に係る研修等に関する検討会ワーキンググループ
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo_554389_00028.html

2023年2月8日の会議で、検討会のとりまとめ案が提出されたので、実質的な審議はこれで終了し、今後は省内での作業が進められ、今年中には認定機関や研修機関の選定が行なわれるだろう。そして来年(2024年)4月以降に、研修の募集が告知され、年末か年度末までに認定試験が実施されることになると思われる。

ここでは、検討会やワーキンググループの資料から、この資格取得の条件などを見ていこう。

■ 資格取得ルート

route-cfsw.jpg

取得ルートは大まかに分けて二つある。有資格者ルートと現任者ルートである。

相談援助有資格者ルートは、社会福祉士や精神保健福祉士が「こども又はその家庭に対する相談援助」(子ども家庭福祉の相談援助)業務を2年以上行ない、さらに指定研修を受けて、試験を受験する。次の現任者ルートは経過措置として設けられるものなので、その期間が経過後は、有資格者ルートのみになる。

現任者ルートは二つあり、一つは相談援助実務経験者ルートだ。これは特に資格は持っていなくても、子ども家庭福祉の相談援助の実務経験が4年以上ある人が、ソーシャルワークに関する研修と指定研修を受けて試験を受験するもの。

もう一つは保育所保育士ルートで、実務経験が4年以上ある保育士が、ソーシャルワークに関する研修と指定研修を受けて試験を受験するもの。

この二つの現任者ルートは前述の通り「当分の間の経過措置」なので、その期間が終了すればこのルートでの資格取得はできなくなる。「当分の間」の長さについては資料の中に記述がないが、他の資格の現任者向け経過措置がたいてい5年間なので、5年間である可能性が高いだろう。

■ 実務経験として認められる施設

有資格者ルート相談援助実務経験者ルートでは、「こども家庭福祉の相談援助業務を含む相談援助」の実務経験が必要になる。必要な年数はそれぞれ2年と4年だ。

実務経験として認められる施設は、児童福祉司任用資格の実務経験として認められる施設と基本的に同じ範囲が挙げられている(下記 とりまとめ資料編表2参照)。

この表2では施設を二種類に分類していて、児童相談所や児童養護施設など子ども家庭福祉の相談を行う施設ではその施設に勤務した証明があるだけで良い。その他の施設では勤務の証明だけでなく子ども又はその家庭に関する支援に従事していたことの証明も必要になる。

■ 実務経験として認められる範囲

有資格者ルートの場合には、業務量については問わないことになっている。つまり業務の中にこども家庭福祉の相談援助業務が含まれていれば、その比率は問わないということだ(ゼロでなければ良い?)。それが一定程度に満たない人たちは、追加研修を受ける必要がある。

相談援助実務経験者ルートの場合には、「その比率は問わない」の文がないので、必ず一定程度の相談援助業務の経験が必要になる。

この一定程度はどれぐらいなのか? 資料中に「5割」という例が示されていることや、児童福祉司任用資格の通達に「年間を通じた勤務時間の概ね5割以上従事した」という表現があることから、5割が目安になるだろう。

保育所保育士ルートの場合には、「要支援児童等対応推進事業」における地域連携推進員(かつて保育ソーシャルワーカーと呼ばれていたもの)の経験が4年以上あるか、保育所長・主任保育士または副主任保育士等としてこども家庭福祉の相談援助業務を含む業務に4年以上従事した必要がある。

■ 研修

すべてのルートで共通して、子ども家庭福祉指定研修(指定研修)を受ける必要がある。時間は100時間程度だ。

有資格者ルートで、こども家庭福祉の相談援助業務の比率が一定程度(5割?)に満たない人は、追加の研修を受ける必要がある。追加研修の内容については「要保護児童対策調整機関の調整担当者の法定研修」を参照とあるので、30時間弱になりそうだ。

相談援助実務経験者ルート保育所保育士ルートの場合には、ソーシャルワークに関する研修(SW研修)を受ける必要がある。時間は100時間程度になる。

従って、総研修時間はコースにより、人により違い、指定研修100時間のみ、指定研修100時間+追加研修30時間、SW研修100時間+指定研修100時間、の3パターン生じるはずだ。

研修の実施方法だが、
  • 講義については、対面での授業実施も可能としつつ、インターネット等を活用したライブ配信等・オンデマンド形式等による講義を可能とする
  • 演習については、原則対面での実施としつつも、内容によってはインターネット等を活用したライブ配信等 を可能とする
  • 見学実習については、原則として対面で実施する
となっている。

見学実習については全時間出席とレポート提出が必須とされているが、講義と演習については出席率や欠席時のレポート提出などの定めを国や認定機関は設けないとされている(研修の実施機関で定めることはあるかもしれない)。

■ 資格の名称

こども家庭ソーシャルワーカーで決まりのようだ。
英語表記は CFSW (Children and Family Social Worker) となる。

■ 今後

前述のワーキンググル-プはとりまとめに入ったので、今後は厚生労働省での作業に移ることになる。4月以降には省令などが整備され、認定機関が指定され、研修の受講者の募集が始まるだろう。

そして、おそらく来年(2024年)4月以降に研修が始まり、年度末までには試験と結果発表が行なわれ、2024年度中には新資格保有者が誕生することになる。

■ とりまとめ資料編表2

「相談援助の実務経験の範囲として認められる施設(例)」

こども又はその家庭に対する支援を行っている旨の証明をせずとも、実務経験として認められるもの
(児童福祉法)
 ・児童相談所
 ・母子生活支援施設
 ・児童養護施設
 ・障害児入所施設
 ・児童発達支援センター
 ・児童心理治療施設(旧情緒障害児短期治療施設)
 ・児童自立支援施設
 ・障害児通所支援事業を行う施設
 ・障害児相談支援事業を行う施設
 ・乳児院
 ・児童自立生活援助事業を行っている施設(児童居宅生活援助事業)
 ・子育て短期支援事業を行っている施設
 ・児童家庭支援センター
 ・こども家庭総合支援拠点
(学校教育法)
 ・教育機関
(母子健康法)
 ・子育て世代包括支援センター
(その他)
 ・その他都道府県又は市町村の児童家庭相談業務を行う部署

こども又はその家庭に対する支援を行っている旨の証明をした場合に、実務経験として認められるもの
(地域保険法)
 ・保健所
(医療法)
 ・病院及び診療所
(身体障害者福祉法)
 ・身体障害者更生相談所
(精神保健福祉法)
 ・精神保健福祉センター
(生活保護法)
 ・救護施設
 ・更生施設
 ・授産施設
 ・宿所提供施設
(社会福祉法)
 ・福祉に関する事務所
(売春防止法)
 ・婦人相談所
 ・婦人保護施設
(知的障害者福祉法)
 ・知的障害者更生相談所
(老人福祉法)
 ・養護老人ホーム
 ・特別養護老人ホーム
 ・軽費老人ホーム
 ・老人福祉センター
 ・老人短期入所施設
 ・老人デイサービスセンター
 ・老人介護支援センター
 ・老人ホーム
(母子及び父子並びに寡婦福祉法)
 ・母子・父子福祉センター
(介護保険法)
 ・介護保険施設
 ・指定介護療養型医療施設
 ・地域包括支援センター
(障害者総合支援法)
 ・障害者支援施設
 ・地域活動支援センタ-
 ・福祉ホーム
 ・障害福祉サービス事業
 ・一般相談支援事業を行う施設
 ・特定相談支援事業を行う施設
(刑事収容施設法)
 ・刑事施設
(少年院法)
 ・少年院
(少年鑑別所法)
 ・少年鑑別所
(更生保護事業法)
 ・更生保護施設
(更生保護法)
 ・保護観察所
(その他の法律)
 ・「精神障害者地域移行支援特別対策事業」を行っていた施設
 ・地域若者サポートステーション(青少年雇用促進法)
 ・こども・若者総合相談センター(子ども・若者育成支援推進法)

(法律名を書き足しておいた)
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第25回精神保健福祉士試験 専門科目の割れ問 [社会福祉]

ほぼ自分用のメモ:

2023年3月7日 正答の発表があったので、正答を書き加えた。

第25回精神保健福祉士試験の解答例を発表しているのは、
藤仁館医療福祉カレッジ
けあサポ(中央法規)
赤マル福祉(ジェーシー教育研究所)
広島福祉専門学校
ふくし合格ネット
カイゴジョブ(エス・エム・エス)
フチガミ医療専門学校

概ね発表の早い順に並べた。藤仁館は試験実施日の夜には解答例を発表してくれる。
問題文はけあサポのページにスキャンしたPDFが掲載されている

以下は割れ問:

問題2 神経性大食症の過食に対する不適切な代償行為
× 1 虚言
 - フチガミ
3 緩下剤乱用
 - 藤仁館・けあサポ・赤マル福祉・広島福祉・ふくし合格・カイゴジョブ

問題28 権利擁護における発見機能
× 4 市民を対象とした精神保健福祉講座の運営を通して,精神障害に対する理解を求める。
 - 藤仁館・赤マル福祉
5 長期入院にあるクライエントに対し,地域生活のイメージを描けるような働きかけを行う。
 - けあサポ・広島福祉・ふくし合格・カイゴジョブ・フチガミ

問題30 声かけの根拠となるソーシャルワークの価値
× 2 人間の社会性
 - 藤仁館・フチガミ
4 変化の可能性
 - けあサポ・赤マル福祉・広島福祉・ふくし合格・カイゴジョブ

問題52 覚醒剤依存者への声かけ
2 「覚醒剤を使うことをどのように思っていますか」
 - フチガミ
× 3 「最初に,治療プログラムについて説明します」
 - 藤仁館・けあサポ・赤マル福祉・広島福祉・ふくし合格・カイゴジョブ

問題56 活用を意図したコミュニティソーシャルワークの機能
× 3 新しい社会資源の創造
 - けあサポ・広島福祉・カイゴジョブ
4 個と地域の一体的支援の展開
 - 藤仁館・赤マル福祉・ふくし合格・フチガミ

藤仁館 ○×××○ 2/5
けあサポ(中央法規) ○○○×× 3/5
赤マル福祉 ○×○×○ 3/5
広島福祉専 ○○○×× 3/5
ふくし合格ネット ○○○×○ 4/5
カイゴジョブ ○○○×× 3/5
フチガミ ×○×○○ 3/5

というわけで、ふくし合格ネットの優勝です。
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