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第6回公認心理師試験の合格率の低さ [心理の資格]

第6回公認心理師試験の結果が発表された。

【令和5年6月9日14時】第6回公認心理師試験(令和5年5月14日実施)合格発表
https://www.jccpp.or.jp/shiken.cgi#exam_001_anchor_10

受験者数2,020人、合格者数1,491人、合格率は73.8%であった。私はその数字を聞いたとき、わが耳を疑った。「低すぎるだろ!」

確かに、昨年第5回の合格率48.3%に比べれば大幅に上昇したと言える。だがそれは、区分Gの人たちが合格率を下げていたからである。確かにGルートは合格率が低かった。第1回だけはGルートも7割を超える合格率だったが、その後は5割前後の合格率で推移した(第1回はおそらく科目の読み替えができずに区分Dで受験できなかった人たちがやむなく区分Gで受けたのだろう)。Gルートが合格率を下げている面があったのは確かであるし、それがGルート批判の根拠の一つでもあった。

そのGルートがなくなった第6回は、合格率が当然9割を超えると予測していたのである。9割に達しなかったとしても、余裕で8割は超えてくるはずだ。医師や看護師の国家試験の合格率は9割程度である。新卒の合格率が9割半ばに達し、それを既卒が下げているという構図は他と共通しているが、新卒の合格率が高いので、既卒の合格率が低くても、全体の合格率への影響は大きくないのである。

公認心理師試験も、第6回からは大学院卒の人たちが受験者の大半を占めるようになる。当然同じような合格率になるはずだと思っていたのだが、予想に反して7割しか受かっていないのである。いったい何が起きたのだろうか? 発表資料からその内情を探ってみよう。

公認心理士の受験資格取得ルート

受験者数が約2,000人というのは予想通りであった。第5回試験は約3万3千人も受験したが、Gルートを除けば受験者数は2,142人に過ぎなかった。だから第6回もその程度になると予想したし、実際その通りになった。

第6回からは特例処置ではない区分AおよびBが受験者の中心を占めると思っていたのだが、AとBを合わせても60人しか受験者がいなかった。だがこの区分の合格率は9割を余裕で超えた。公認心理師を輩出する教育機関としての面目を保ったと言える。

区分Gに代わって受験者の中心を占めたのが区分Eである(実に約4分の3がEルートの人たちだ)。これは学部については科目の読み替えを行い、大学院では公認心理師のカリキュラムを学んだ人たちだ。第3回試験から登場した彼らの合格率は平均約8割である(新卒既卒を分けた数字は発表されていない)。この数字を高いとみるか、低いとみるかは人それぞれだろうが、心理学科が医療系の資格に引けを取らない教育を授けている・受けていると主張したいのなら、9割に達しなければならないだろう。

区分Eよりさらに合格率が低いのは、区分D1およびD2の人たちだ。これは公認心理師法の施行時点(2017年)には心理系の大学院を卒業していたか、あるいは在学中で、科目の読み替えによって受験資格を得たケースだ。この人たちは第6回の受験者の2割にすぎないのだが、合格率は5割以下とGルート並みで、全体の合格率を引き下げている。ただ、Gルートの場合には、次から次へと新しい受験者が現れたのに対し、Dルートの場合には新卒で受験する人はもういないはずだ。つまり、いまDルートで受けている人たちは全員既卒で、複数回受験している人たちだけなのである。

まとめると、公認心理師試験は、新卒でも合格率がそれほど高くない上に、それが原因で既卒受験者の比率が高いことが全体の合格率を下げているのである。

地方の医大では国家試験の対策授業が念入りに行われているという。それは、医師が業務独占の資格で、資格を得なければ医業ができないからである。だから当然医学部同士、合格率を競うことになる。心理の場合は資格がなくても仕事はできるが、それでも心理の大学院はもっと国試対策を学生に念入りに施して合格率を上げるべきだ。なぜなら、合格率の低さは、高校生たちにその道を選ぶことをためらわせるからだ。

区分A(およびB)が受験者の中心になるのは、来年以降なのだろう。区分Eの人たちは遅くとも2017年の春までに大学に入学している。その人たちは順当に行けば2023年春に受験資格を得るはずで、それが今年の受験者の中心を占めたわけだ。(何らかの事情で学業が遅れた人を除けば)来年以降は新卒と言える人はいなくなり、区分Eの受験者は大幅に減るはずだ。

受験者が区分AとB中心になるであろう来年の合格率はどうなるのだろうか・・。

■こども家庭ソーシャルワーカーの資格制度は2024年度から

ところで、こども家庭ソーシャルワーカーの資格制度は見込み通り2024年度から始動するようだ。

【厚生労働省】児童虐待へ対応する職員らの資質向上に向けて認定資格https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230425-2664338/
> 「一定の実務経験がある保育士など有資格者が、国の要件を満たす認定機関の研修を経て、資格を取得する仕組みを2024年4月から導入する。」

新資格取得にインセンティブを 全国児童家庭支援センター協議会が要望
https://news.yahoo.co.jp/articles/5c90d89c4133867402bea0a7771a15a06918be80
> 「同庁(こども家庭庁)は来年度から新たにこども家庭ソーシャルワーカーの資格の養成を開始する」

所管はこども家庭庁なのか。

追記:
厚生労働省の検討会のとりまとめが、案取れになっていた。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo_554389_00026.html
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