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公認心理師資格取得顛末記(その2 自己採点と合格発表) [心理の資格]

その1 受験まで からの続き)

配点と合格基準:
公認心理師試験の配点は、知識問題が116問で各1点、事例問題が38問で各3点だ。知識問題満点116点+事例問題満点114点=合計230点が満点で、合格基準は60%、すなわち138点だ。この基準は試験問題の難易度で調整することがあると書かれているが、これまでの三回の試験と今回の第三回試験で、一度も調整は行われておらず、常に138点が合格ラインだった。

(ちなみに、社会福祉士の試験では毎年調整が行われ、近年では150点満点で72点~99点と大幅に変動している。情報処理技術者試験は60%固定だ)

自己採点いろいろ:
自己採点は妻がやってくれた。解答速報が最も早かったのは、和光大学の髙坂康雅先生で、当日の夜には最初の発表があった。妻の採点によれば、私は最低でも150点は取れていそうで、もし基準の調整が行われたとしても、十分合格圏内と言えた。

もう一つ、IPSA心理学大学院予備校も当日中に解答速報を発表していた。

どちらも翌日には訂正が入ったが、最終的に正答の公式発表と違っていたのは、髙坂先生が2問、IPSAが6問だった。

その週のうちに、他からも相次いで解答速報が発表された。
心理系大学院受験対策塾プロロゴス
ファイブアカデミー(Z会)
LEC(東京リーガルマインド)
この三社は、公式正答との違いがほぼなかった(プロロゴスとLECは完全同一、ファイブアカデミーは1問違い)――いずれも不適切問題とされた問106を除く。

注意が必要なのは、メディカ出版の自己採点システムだった。こちらは、公式の正答とは34問も違っていた。これはどうやら、自己採点のためにユーザーが登録したデータを集計し、各問ごとに最も多い回答を正答としているのではないかと思われる。合否予測用に使えるのかどうか疑問が残る(とはいえ、私の場合には実際の得点と2点しか違わなかったが)。他のサイトが正答としているものとあまりに違って不安になった。

事例問題重視:
2021年2月の合格発表と同時に正答も発表された。

正答発表と突き合せてみると、私は、知識問題の正答率が56%、事例問題の正答率が84%だった。事例に強い、というのは現場経験が生きているのかもしれない。事例問題が1問当たり3点あったことも幸いして、7割の得点を得た。LECの試験講評には、事例問題は「現任者であることを確かめるような設題」とあった。

事例問題が3点というのは高すぎる、という批判を聞く。だから、将来には事例問題が2点に下げられることもあるかもしれないが、知識問題:事例問題の配点比率が1:1という事例重視の姿勢は今後とも変わらないのではないかと個人的に予想している。

ファイブアカデミーの自己採点の集計によれば、やはり、知識問題での得点の不足を事例問題の得点で補った人が多かったようだ。この傾向が今年だけのものなのか、以前から続いているものなのかは分からない。

(今年の社会福祉士試験では、事例問題は150問中29問と全体の約2割、点数も1問1点だ。事例の記述は公認心理師試験より短い)

心理に関する設問の占める比率は5割以下だ。残りは医療・保健・教育・福祉・産業・司法の行政法と事例である。社会福祉について多少なりとも学んできた私にとっては、重なっている分野が多くて助かった。

ちなみに、第三回の試験では、区分D(既卒者)の受験者は2千人余りまで減った。一方区分G(現任者)は1万人を超えた。合格率はそれぞれ約58%、約50%だった。全体の合格率は第2回の47%より下がるのではないかと言われていたが、53%に上昇した。これはおそらくコロナの影響で試験が延期されたため、受験を諦めた人が多かった(それにより分母が減っても、合格しなければならない人たちは受験した)からではないだろうか。

コスト:
かかったコストについて書いておく:
 ・現任者講習 65,000
 ・講習会テキスト 4,180
 ・受験手数料 28,700
この他に、合格後の登録手続きに、
 ・登録免許税 15,000
 ・登録手数料 7,200
合計 120,080

これが最低限必要なコストだろうか。実際は講習会テキストは妻のを借りたので費用はかかっていない。この他、受験申込みに貼る写真代とか、振込手数料とか、住民票の写しの費用とか、交通費などは挙げていない。第二回の過去問集が1,430円、第一回が1,980円だった。2020年からはオンラインで開催される講習会もあり、そちらは少しお安いようだ。

一からこの資格を取ろうと思えば、大学+大学院で6年間の教育を受ける必要があり、おそらく総額数百万円の学費がかかるだろう(最も安価なのは放送大学ではないかと思われる)。それに比べれば、12万円で取得できたのだから、「高かった」とは言えない。

登録手続き:
合格発表日に合格証が発送され、翌々日に書留が届いた。郵便局で登録手数料を振り込み、登録免許税として収入印紙を登録申請用紙に貼って、差し出した。書類に不備がなければ、2~3ヶ月で登録されるはずだ。その登録証が届いて、ようやく公認心理師を名乗ることができる。

他分野の者がこの資格を持つ意味:
さて、公認心理師の資格を持つことが、職業上の有利になるのだろうか? すでに臨床心理士となっていた人の多くは公認心理師の資格も取得したようだし、これから臨床心理士になる人たちもやはり公認心理師を取得するのではないかと思う。そして、心理の仕事が収入面で厳しいという状況もすぐには変わらないだろう。

では(私のように)他分野から現任者として公認心理師資格を取った人たちにとってはどうか? 現在の仕事から心理の仕事に移ると明言していた人は私の周りにはいなかった。兼務について言えば、例えば教師がスクールカウンセラーを兼ねるということは現実的でないだろう。この資格を得たからとて、他分野の人がいきなり心理の職業に参入するということは考えにくい。

私がかつて働いていた障害福祉の施設では、福祉専門職員配置等加算という仕組みがあり、社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士を職員として置いておくと、加算があった(施設の収入が増えた)。ここに公認心理師も加えられたので、障害者施設に就職するアドバンテージになるかもしれない。

他分野の人たちにとっては、すぐにこの資格を活かして仕事をするというより、それぞれの分野の中で生き残っていくのに有利に働くというメリットを期待しているのではないだろうか。いやむしろ、心理という言葉に憧れがあり、受験資格が取れそうなら受けたい・・・資格を取ってどんなメリットがあるか分からないけれど、という人も少なくない気もする。

そもそも、心理学を学んだこともなく、専門家のコミュニティにも属していない人が、資格を取ったからとて、いきなり心理の仕事ができようはずもない。そのことは、皆さん十分わきまえていらっしゃって、無茶なことを考えてはいないようだった。その上で、これから心理学の勉強をして、自分の分野の仕事にそれを活かしていきたい、と思って現任者講習に来たんだけど、想像してたのと全然違った、という感想はけっこう聞いた。それでも資格を取る人は取ってしまうのだろう。(私も含めて)これらの迷える者たちは、この先どこへ向かうのだろうか。

・・・職能団体などがこの層に向けた研修をしてくれて、当人たちにも学ぶ気持ちがあれば、心理師の裾野は広がっていくかもしれないが、果たしてそのように歯車がかみ合っていくかどうか。

いずれにせよ、区分G(現任者)で受験できるのはあと2回だけだ。

二つある職能団体のどちらに入会するか(あるいは両方入会するか)、という話は、登録が済んでから考えることにしたい。

追記:私は前年に合格した妻のテキストを借りたが、公認心理師試験はその年に出題基準(ブループリント)に追加された部分からの出題が行われる傾向があるので、古いテキストから学ぶのは良い戦略ではない。

追記2:心理の資格まとめ
臨床心理士:従前からある心理の専門資格。
認定心理士:大学で心理学の基礎を修めたことを証する資格。
公認心理師:2018年に新設された心理の国家資格(心理は名称独占)。

その3に続く)
タグ:公認心理師
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