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社会福祉士と社会福祉主事 [社会福祉]

私は福祉施設に入職するにあたって、精神保健福祉士あるいは社会福祉士の資格を取らせてくれ(通信教育に必要な金も出してくれ)という条件を付けた・・・破格の待遇だと言う人もいるが、それなりの事情もあった。その頃は福祉についての知識もろくになかったので、どちらの資格でも良いと思っていた。

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[四大卒の人の資格取得コース]

四年制大学卒の人は、いきなり社会福祉士(あるいは精神保健福祉士)の一般養成課程に入学することができる。そして、1年半その通信課程で学んで、修了すれば、受験資格が得られる。通信教育だから働きながら学ぶことも可能だ。(第3号のルート)。

ただし、この場合、5週間ぐらいの「実習」を受ける必要がある。実習期間中は仕事を休まねばならないが、資格の勉強のために1ヶ月以上休める職場はなかなかないだろう。しかも、実習を受けるための費用が追加で30万円ぐらいかかる。つまり、仕事をしている人にとっては、実習を受けづらいことが大きなハードルである。

1年目 社会福祉士一般養成課程・実習込み(1年目)
2年目 社会福祉士一般養成課程・実習込み(2年目)

大卒者の場合、1年間福祉の現場で実務経験を積めば、実習は免除してもらえる。だから、実務経験1年+一般養成課程1年半=2年半で受験資格を得るのが最短コースだ。(厳密には入職日と養成課程の開始日にもよるが、大ざっぱにどちらも4月開始として)。

1年目 実務経験1年目
2年目 社会福祉士一般養成課程(1年目)
3年目 社会福祉士一般養成課程(2年目)

[高卒の人の資格取得コース]

ところが私は高卒(大学中退)である。この場合、一般養成課程に入るのに4年の実務経験を要求される(その代わり、実習は免除になる)。だから、実務経験4年+一般養成課程1年半=5年半で受験資格を得るのが最短コースだ。(第11号ルート)

1年目 実務経験1年目
2年目 実務経験2年目
3年目 実務経験3年目
4年目 実務経験4年目
5年目  社会福祉士一般養成課程(1年目)
6年目
社会福祉士一般養成課程(2年目)

[裏技的短縮コース]

しかし、社会福祉士に限れば、これを3年9ヶ月に短縮する技がある(第9号ルート)。まず、社会福祉主事の養成機関を修了する。これは1年間の通信教育だ。それから実務経験を2年積めば、社会福祉士の短期養成課程に入れる。こちらは9ヶ月である。つまり、社会福祉主事養成機関1年+実務経験2年+短期養成課程9ヶ月=3年9ヶ月で受験資格を得られる。これが、高卒の人間が社会福祉士を得る最短ルートのはずだ。・・・まあ、通信制の福祉系大学で4年学ぶという手段(第1号ルート)もあるが、費用と手間は比較にならない。

1年目 社会福祉主事養成課程
2年目 実務経験1年目
3年目 実務経験2年目
4年目 社会福祉士短期養成課程

養成課程を二つ経ることで、費用は余分にかかるが、社会福祉士の養成課程が短期養成になるので、一般養成課程に比べれば額が減り、全体のコスト増はそれほどでもない。また、同じ科目を二回学ぶというわけでもない。

[3年9ヶ月のはずが7年半も]

私は入職時に「なるべく早く資格を取りたい」と言ったようである(憶えていないが)。雇用側では、そのことを慮ってくれ、この裏技的短縮コースを提案してくれた(のだと思う)。だが、入職直後に、社会福祉主事の養成課程に入らないかと言われたとき、1年目は仕事に慣れるのが精一杯で、と断ってしまった。仕事で大変だったのは本当だが、第9号ルートがなんたるかも知らなかったし、調べようともしなかった。もし、知っていたら、無理してでも1年目から学んであろう。だが、これでまず1年遅延した。

2年目にようやく社会福祉主事の養成課程に入った。10万円近い費用は雇用側で払ってくれた。それだけでなく、三浦半島の風光明媚な施設で行われる5日間の面接授業(スクーリング)の宿泊や食事の費用も出してもらった(数万円)。もちろんこの5日間は自分の仕事からは離れているわけである。

1年で終えられるはずの課程だったが、実は2年かかった。21科目あるうちの一つを落としてしまったのだ。各科目ごとに、マークシート式の自宅でやる試験と、小論文が課された。科目ごとに用紙が決まっているのだが、間違えて別の科目の用紙に小論文を書いて提出してしまったのだ。そのミスによって、小論文は未提出扱いとなり、翌年その科目だけ再履修になった。再履修の費用2万円弱は自腹を覚悟したが、それも雇用側で出してくれた。ともあれ、ここでさらに1年遅延した。

2年遅延したおかげで、第11号ルートと取得までの年数に差がなくなってしまった。ともあれ、入職して4年経つときに、社会福祉士の養成課程に入れてくれという話をしたのだが、雇用側でゴタゴタがあり、それどころではなくなってしまった(経営者の交代があった)。そこで1年延ばさざるを得なくなった。これで合計3年遅延である。

そして翌年、ようやく社会福祉士の養成課程に入れたのだが、どうせここまで遅れたんだったら、社会福祉士の短期養成課程(9ヶ月)ではなく、一般養成課程(1年半)に入ろう、と思った。その方がじっくり社会福祉が学べるだろうと考えたからだ。これでさらに9ヶ月遅延である。費用は少々増えるが、雇用側が払う約束になっているのだからと頼んだら・・・払ってくれた。すでに入職から5年経過していた。

短期養成に比べて一般養成の課程は科目数も多く、出すレポートの数も倍以上だった。だが、短期にはそれなりの苦労もあるという。たまたま短期の人たちと同じ日にスクーリングがあり、廊下で立ち話をした人が「短期はキツイ、一般にすれば良かった」とこぼしていた。短期は科目数が少ないが、期間も短く、しかし国家試験の科目数は同じなので、試験準備が間に合わないというのだ。

とは言え、一般養成課程の1年半は長かった。なにせ、その途中で私は勤務先の施設を退職してしまったのだから。ゴタゴタしたから辞めたわけだけれど、社会福祉主事と社会福祉士の両方の金を出してもらったのだから、その点は感謝せざるを得ない。

最短3年9ヶ月であるところを7年半もかけてしまったのは、間抜けとしか言いようがない。しかし、ほぼ同じ科目を2回学んだのは、国家試験の点数に反映されたと思っている。

1年目 実務経験1年目
2年目 社会福祉主事養成課程
3年目 実務経験3年目
4年目 実務経験4年目
5年目 実務経験5年目
6年目 社会福祉士一般養成課程(1年目) 
7年目 社会福祉士一般養成課程(2年目)

[社会福祉主事任用資格の必要性]

ちなみに、障害福祉の分野で働き続けるのならば、社会福祉主事任用資格はなるべくはやく取得したほうが良い。施設にはサービス管理責任者(サビ管)を置く必要があり、サビ管の資格を取るということが雇用される側にも、雇用側にもメリットをもたらす。

サビ管の資格は都道府県の行う研修を受けるだけで良いのだが、研修を受けるためには実務経験を要求される。直接支援であれば10年必要だ(長いよね)。ところが、社会福祉主事の任用資格を持って仕事をすれば、この期間が5年に短縮される。相談支援事業所の相談支援専門員についても、事情は同じだ。

実務経験の1年目に社会福祉主事の養成課程を経て任用資格を得れば、その後5年(つまり合計6年で)これらの実務経験要件を満たせるのだ。

一方で、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取っても、その後で必要な実務経験(3年)を積まなければ、サービス管理責任者や相談支援専門員の研修は受けられない。

つまり、実務経験1年目に社会福祉主事の任用資格を得ることで、社会福祉士受験資格への期間が短縮できるだけでなく、サービス管理責任者や相談支援専門員になるのに必要な実務経験も短縮できるのである。(あくまで高卒の場合)。

その点から見ても、私が社会福祉主事任用資格を1年目で取らず、3年もかけてしまったのは悪手としか言いようがない。

(2019年より制度が見直され、サビ管の直接支援の実務経験要件が10年→8年に短縮された。また基礎研修は必要な実務経験年数マイナス2年で受けられるようにもなった)。
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